【鹿島】「結果を出すしかない立場」。背水の覚悟で挑む赤﨑が生きる道とは?

2015年05月31日 五十嵐創(サッカーダイジェスト)

ライバルは多い。しかし――「自分はダヴィやジネイにはない特長を持っている」。

2ゴールを決めてアピールした赤﨑。「動きながらスペースを上手く使う」という特長をさらに生かしたい。(C)Getty images

 鹿島が14節の松本戦で、リーグ戦では約2か月ぶりとなるホームでの勝利を挙げた。立役者は、2ゴールの赤﨑だ。
 
 セットプレーで先制点を奪われた直後の同点弾、さらに前半終了間際の逆転弾――。いずれも価値ある得点だったが、なかでもインパクトを残したのは前者だ。嫌な流れを断ち切る鮮やかな一発は、本人が意識して取り組んできた形から生まれたものだった。
 
「駆け引きを制してニアで勝つのは、今シーズンの頭から取り組んでいたこと。(折り返しを)信じて走って良かった」
 
 巧みにCBのマークを外す動き出しの鋭さは、スピードと「駆け引き」を持ち味とする赤﨑の真骨頂。本人も納得のゴールだっただろう。
 
 とはいえ、試合後の赤﨑は、満足そうな表情を見せなかった。2ゴールという結果には手応えを得ていたものの、真っ先に口にしたのは危機感だ。
 
「結果を出すしかない立場なので。(鹿島は)この2点でレギュラーを約束されるチームではない。次にどうやって点をとるかを考えている」
 
 鹿島はCFの人材が豊富だ。シーズン途中の5月に新戦力のジネイを獲得し、長期離脱していたダヴィも練習に復帰した。また、このふたりが不在だった序盤戦では、高崎が起用され、攻撃的MFの金崎も最前線を務めた。ポジション争いを勝ち抜くのは至難だ。
 
「いろんなところを改善していかないと次の試合には出られない。それに、継続して結果を出せるようにしないと」
 
 そう静かに語った後、赤﨑はスタメン定着への道筋をこう分析した。
 
「ただ、自分はダヴィやジネイにない特長を持っていると思う。起用されたら、そういう監督の意図を組んでプレーしたい。動きながらスペースを上手く使うのは去年からある程度できていたから、そこにいろいろ足していきたい。
 
 例えば、相手が引いた時にバイタルで起点になれれば、チームとしても攻撃の幅が出てくる。トップ下の(土居)聖真とふたりの関係で崩せる場面も出てくるだろうし、アントラーズは中盤に技術の高い選手が多いので、上手くコンビネーションで崩せれば、相手にとって脅威になると思う」
 
「どちらも素晴らしい選手」と認めるダヴィやジネイは、パワーや高さ、ポストワークが売りだ。ならば自分は、彼らとは違った持ち味でチームに貢献する。ライバルたちに「日頃から刺激をもらっている」という赤﨑は、自身が活躍する明確なヴィジョンを描けている。
 
 ジネイの加入、ダヴィの復帰と前線に明るい話題が増えてきた鹿島だが、自らの生きる道を見出した赤﨑もまた、興味深い選択肢のひとつになりそうだ。
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