「危機感を覚えています」楽天・三木谷会長が政府のワクチン対策に警鐘を鳴らす。Jリーグの大規模接種案には「大変うれしく思っています」

2021年05月15日 サッカーダイジェストWeb編集部

「新型コロナ問題を克服するためのワクチン対策の緊急提言」も提出

Jリーグの提案に「楽天グループとしてもあらゆる力を使って協力したいと思っています」という三木谷会長。※写真は会見中のスクリーンショット

 Jリーグは5月14日、オンライン上で新型コロナウイルスワクチンの大規模接種への協力についての記者会見を行ない、列席した楽天グループの三木谷浩史代表取締役会長兼社長が現状に警鐘を鳴らした。

 Jリーグは、全国40都道府県で活動する57クラブが、ワクチンの大規模かつ早期の接種に協力するため、各地域でのサポート活動を行なう方針を打ち出した。

「できることがあれば何でもするという所存でもある」「楽天グループとしてもあらゆる力を使って協力したいと思っています」と全面協力を明言した楽天の三木谷浩史会長がオーナーのヴィッセル神戸でも、ホームのノエビアスタジアム神戸をワクチンの接種会場とするため、神戸市と協議を進めているという。

 その一方で三木谷会長は、一経済人として、Jリーグクラブのオーナー企業の一代表取締役として、また、一国民として、諸外国とのワクチン対応の差に「大変危機感を覚えています」と心境を露わにし、政府への働きかけも行なっている。

 先日発起人のひとりとして「新型コロナ問題を克服するためのワクチン対策の緊急提言」を提出。その内容は(1)接種オペレーション等の抜本的な見直し、(2)ワクチンの承認、(3)感染拡大と経済活動の再開の両立を目指した出口戦略の構築、(4)今後の基盤構築の大きく4つに分類される。

 三木谷会長は(1)について、「今の接種状況はワクチンの供給量が非常に少ないなかでの想定で作られていた。抜本的に見直す必要がある」として、「7月と言わず、高齢者の方の接種を早く終わらせて一般の方々にも開放すべき。半年、1年(単位)ではやっていられない」とスピード重視を強調。

(2)は他国では欧米等諸外国の安全性・有効性の最新データを基に特例承認を行なっている現状で、日本では認可に時間がかかる点を指摘し、「3、4か月の遅れというのは致命的なのではないか」と危機感を募らせている。
 
 さらに(3)(4)では、「ワクチン接種は1回で終わることではなく、さらにアメリカでは秋にブースターという変異株に対する新しいワクチンも出てくる見通し。インフルエンザのような対応が必要になってくるのが極めて高い」と予見し、「スムーズなワクチン接種体制を作らないといけない」とした。

 現状への危機感はそれだけではない。
「アメリカが(ワクチン接種率)60パーセントに達しようとしており、経済も再開しようとしている。また、ヨーロッパも30パーセント、40パーセントいっているなか、日本は残念ながら非常に遅れているということで、大変な危機感を覚えております」と警鐘を鳴らす。

  また三木谷会長は、「当然、重篤な患者さんを出さないということとともに、やはり経済をいかに再開するか。これはJリーグの社会的意義とともに、スポーツをするうえでも乗り越えないと話にならないということ」とも主張し、「このようなかたちで、全国知事会、並びに村井チェアマンにリーダーシップを取っていただけるということで大変うれしく思っています」と、Jリーグが発表した大規模接種への協力に賛同の意も示した。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部
 
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