【FC東京】武藤の後釜ではない!? 元チュニジア代表FWを補強した意図は?

2015年05月09日 サッカーダイジェスト編集部

後釜というより、「純粋なFWが欲しい」という指揮官の意向を汲んでの獲得か。

FC東京への加入が決まったFWラサッド。長身だが、足下のテクニックに長けたテクニカルなタイプだという。写真は2012年のセルティック時代。(C) Getty Images

 リーグ戦で上位をキープするFC東京が、元チュニジア代表の肩書きを持つFWラサッドを緊急補強した。今回の補強には、どのような意図があるのか。
 
 第1ステージ・10節を終えて8得点のエース武藤嘉紀の今夏の欧州移籍が不可避な状況になりつつあるなかで、今回の補強を単純に武藤退団後の"後釜"と考えるのは早計だろう。
 
 今季のFC東京は武藤のパートナー探しに苦労している。ここまでスピードやテクニックが特徴の石川直宏、東慶悟、林容平らが起用され、それぞれに結果を残したことでチームは好調を維持している。ただし、直近の仙台戦では前田遼一がスタメンに復帰するなど、試行錯誤は続く。
 
 堅守速攻型のサッカーをする上で、スピードのある選手は重宝するが、前線の起点という観点ではいわゆるセンターフォワード(CF)が求められる。これは今シーズン開幕前に負傷した平山相太の長期離脱も影響しているが、マッシモ・フィッカデンティ監督はしばしば石川らの起用理由について「純粋なFW(CF)がいないので」と説明している。やはり、軸となる武藤と異なるタイプのFWを欲しているのは確かなようだ。
 
 ただし、ラサッドは188センチの長身だが、本人が自覚する最大の特長は「技術面」。典型的なポストプレーヤータイプではないという。体格も細身で、最近、Jリーグで見られるオビナ(松本)やディエゴ(山形)のような「ゴツい」タイプというよりは、「しなやか」なタイプ。実際の練習や過去のプレーを見てもサイドに流れてパスを受けるシーンが多く、ゴール前に張り付いてヘディングを叩き込むようなプレーは少ない。
 
 今回獲得に至ったラサッドだが、果たして指揮官の思い描く「純粋なFW」と言えるのかは未知数だ。
 
 かつてセルティック(スコットランド)、デポルティボ・ラ・コルーニャ(スペイン)と欧州の名門クラブでプレーし、2009年~10年にはチュニジア代表歴もあるなど経験は豊富。しかし、約半年間、無所属だったためコンディション面や試合勘が不安視されている。
 
 第1ステージ終了までの短期契約とされており、約2か月間でどこまでインパクトを与えられるか。まずはスーパーサブ的な起用法で実際に使いながら見極めていくことになるだろう。

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