初のメンバー入りを果たした鹿島ルーキー早川友基の隣には背番号1。変わらぬクォン・スンテの献身

2021年04月21日 サッカーダイジェストWeb編集部

68分、至近距離からのシュートをビッグセーブ

ルーキーの早川に優しい眼差しを向けるクォン・スンテ。その献身が若手の成長を促す。写真:滝川敏之

 試合後、そこにはいつもの光景があった。年長者から未来ある若手へ、その経験を伝えているのだろう。

 ルヴァンカップ第3節の鹿島アントラーズ対北海道コンサドーレ札幌戦で、鹿島の大卒ルーキーGK早川友基が初のメンバー入りを果たした。出番はなかったが、貴重な経験になったはずだ。

 試合は3-0で鹿島が勝利を収める。ゴールマウスを守ったのは、在籍5年目の背番号1、36歳の大ベテラン、クォン・スンテだ。リーグ戦ではまだ出場はないが、ルヴァンカップでは5-1で完勝した前節のアビスパ福岡戦に続き、札幌戦でもフル出場して勝利に貢献した。

 試合を終えて、サポーターへの挨拶で選手たちがスタジアムを1周する。列の後ろのほうでは、クォン・スンテと若いGKが話し込む。この日もそうだった。リーグ戦では東京五輪代表候補の沖悠哉にそうするように、プロ1年目の早川の隣にはクォン・スンテがいて、熱心にコミュニケーションを取っていた。

 昨夏に沖や山田大樹ら若いGKがプロデビューを飾ったタイミングで、当時指揮を執っていたザーゴ前監督は次のように話していた。

「忘れてはいけないのが、彼ら(沖と山田)の成長を早めている、または強める役割を果たしているのが、スンテ選手や曽ケ端選手(現・鹿島GKアシスタントコーチ)だ。自分のポジションを守ろうとすると同時に、若手の成長を促すようにいろんな助言をしている姿が見受けられる」
 
 その振る舞いは今も変わらない。若手の台頭を下支えするクォン・スンテは、札幌戦の68分には、至近距離からのシュートをビッグセーブ。2-0とリードしていたが、直前には染野唯月がPKを失敗。ここで決められていたら流れが一気に変わるかもしれない状況で、ゴールを守り抜いた。

 ピッチ外でのアドバイスはもちろん、実際のプレーでも範を垂れる。これほど頼りになる存在はなかなかいない。

構成●サッカーダイジェストweb編集部

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