なでしこジャパンの弱点が克服されつつある!?高倉監督が「すごく心強い」と語る日本人の変化は?

2021年04月01日 サッカーダイジェスト編集部

代表的なひとりが宝田だ

身体能力に優れ、あらゆるポジションをこなす宝田。アンダー世代からコンスタントに代表に名を連ねてきた。(C)Getty Images

 日本サッカー協会は4月1日、パラグアイ戦(同8日)とパナマ戦(同11日)に臨むなでしこジャパン(日本女子代表)のメンバーを発表した。

 キャプテンでディフェンスリーダーの熊谷紗希は所属のリヨンに拒否されたとして招集されなかったものの、ミランの長谷川唯やアストン・ビラの岩渕真奈、レバークーゼンの田中美南など海外組は6名がメンバー入り。また鮫島彩や菅澤優衣香らお馴染みのメンバーも順当に選出された。

 初招集では、18歳で身長163センチの木下桃香、21歳で162センチの北村菜々美、23歳で166センチの塩越柚歩などが含まれている。また初招集組以外でも、21歳で169センチの高橋はな、21歳で170センチの宝田沙織、22歳で172センチの南など、若くてサイズのある人材が多く選ばれている。

 これまで日本代表は欧米の選手と比べて圧倒的に体格で劣り、チームワークやアジリティを武器に対抗してきた過去がある。しかし、今回のメンバーリストを見ても160センチを超える選手たちが少なくない。もちろん「大きい」とまでは言えないが、フィジカル対決では手も足も出なかった歴史は少しずつ変化しつつあるようだ。

 高倉麻子監督は言う。

「海外と試合をした時に、高さ、スピードに関して日本はウィークがあると強く感じていました。テクニック、スピード、大きさを含めて、たくさんの要素を持った選手が出てきてほしいなと。

 今回大きい選手を意図的に選んだというよりは、育成を継続的にしっかりしているなかで、たくさんそういった選手が出てきたなという印象。大きさに加えてスピードもある選手も増えてきているので、そのへんはすごく心強いなと感じています」
 
 その代表的なひとりが宝田だ。セレッソ大阪堺レディースで育った宝田は、幼少期から体格に恵まれアスリート能力に優れていため、中学の途中まではGKとフィールドプレーヤーを兼任。さらにフィールドでも、前線から後ろまであらゆるポジションを経験してきた。

 約9年在籍したC大阪堺LでもCBとFWを担い、アメリカのワシントン・スピリッツに移籍した今季もFWを主戦場としつつ最終ラインもこなす。今回の代表活動でも、これまでのFWでなくDF登録となっている。

「GKも含めてどのプレーヤーも攻撃の力も守備の力もいる。あまりポジションを付けなくてもいいかなと思っているくらい」だという高倉監督も、「前回の国内キャンプでチームでやっているCBでトライしてもらったんですけど、非常にポテンシャルの高さを感じましたし、彼女自身もその面白さに気づいて前向きにトライしていた。今回もDFベースで感じつつ、彼女が今まで培ったFWの能力、つなぎの要素だったり、攻撃的なパスというところは本当に期待ができる」と期待を寄せている。

 そうした宝田をはじめとした身体能力に優れるタレントが今後、日本女子サッカーをもう一段階上のステージに引き上げるだろう。東京五輪に向けた強化合宿でも、その才能の片鱗を見せてくれるはずだ。

構成●サッカーダイジェスト編集部

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