【神戸】闇雲な“ロングボール”に表われた森岡、チョン・ウヨン不在の影響

2015年04月30日 本田健介(サッカーダイジェスト)

名古屋戦は攻撃の形を作れず、システム変更も効果は薄く完敗に終わる。

8節・名古屋戦を怪我で欠場した森岡。彼の不在が攻撃面にもたらした影響は大きかった。(C) SOCCER DIGEST

 試合終盤、神戸は前線の枚数を増やし、サイドからクロスを幾度も放り込んだが、ことごとく撥ね返され、虚しく試合終了の笛を聞いた。

【J1 PHOTOハイライト】1stステージ・8節
 
 公式戦7戦負けなし(4勝3分)と、好調を維持し、意気揚々と臨んだ8節の名古屋戦はその自信を砕かれる一戦となった。スコアこそ0-1ではあったが、決定機の数は1対7、多くのピンチを迎え、逆にチャンスらしいチャンスは作り出せずに終わった。
 
 もっとも、エクスキューズはある。この日は前節、ハムストリングに違和感を覚え、途中交代した森岡を筆頭に増川、安田、P・ジュニオール、フェフージンらが欠場。加えてチョン・ウヨンが累積警告で出場停止と、多くの主力を欠いた。
 
 とりわけ森岡、チョン・ウヨンの不在は大きかった。昨季リーグ全34試合に出場した森岡、33試合に出場したチョン・ウヨンが揃って欠場すると、ボールの落ち着きどころがなく、スイッチとなる縦パスも入れられずに攻撃は停滞。闇雲にロングボールを蹴っては、闘莉王を中心とした名古屋守備陣に撥ね返され、セカンドボールを拾われてピンチを招いた。
 
 機能しなかった攻撃に関して選手それぞれが問題点を口にする。
「前の試合などは森岡選手がボールを収めて組み立てていたけど、それがないので、今日は最終ラインの裏でボールをもらって起点になろうと思った。しかし、なかなか上手くいかなかった。ポゼッションをする力は今のチームにはあると思うが、今日はできなかった」(小川)
 
「ボールを動かせず、局面を変える場面が少なかった。サイドチェンジも少なかったので、もっと自信を持ってプレーすべきだったと思う。みんなボールを回すことを恐れて、ロングボールを入れて、相手に拾われて、という展開だった」(相馬)
 
「1点先に取られて、焦って前へ前へとなり、カウンターを受けていた。もう少し、チームとして落ち着いて、前に行く時と、ボールを大切にする時を使い分けていかないといけない」(渡邉)
 
 ネルシーニョ監督もチームの苦境に、「ポゼッション率を上げたかった」と前半の途中から、3-4-2-1を諦め、田中をアンカーに置き、その前のインサイドハーフに三原と渡邉を並べる3-5-2にシステムを変更。それでも流れを掴めないと、後半途中にはストッパーの岩波を下げ、FWの石津を投入し、今度は4-3-3に変え、状況の打開を試みた。しかし、結果的にどの策も効果は薄かった。
 
 昨季から司令塔タイプの森岡、パスを捌けるチョン・ウヨンの代役不在という点は不安視されていた。現状でもその穴を埋められる人材は見当たらず、この問題はシーズンを通してチームの大きな足枷になる可能性は高い。
 
 次節は中2日での鳥栖戦。出場停止が解けるチョン・ウヨンは戻ってくるが、森岡が復帰できるかは未定だ。またこの先、ふたりが揃って欠場する可能性もある。
 
「チームとして、誰かがいなくて負けたとか、そういう言い訳はしたくない」(渡邉)。その言葉に期待はかけたいが、この名古屋戦を教訓に新たな対応策を練っておけるか、今後の戦いが注目される。
 
取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
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