【川崎】より評価されるべき旗手怜央の献身。挑戦中の左SBでも存在感

2021年02月27日 本田健介(サッカーダイジェスト)

アタッカーとして居残りでのシュート練習も

昨年末から左SBに挑戦中の旗手。持ち味を発揮している。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[J1第1節]川崎2-0横浜/2月26日/等々力

 昨季の王者である川崎が、2019年の王者・横浜を2-0で下した今季のリーグ開幕戦。試合終了のホイッスルと同時にピッチに倒れ込んだのは大卒2年目の川崎のFW旗手怜央だった。

 エネルギーを使い果たしたのだろう。それだけ横浜戦でも、ピッチを駆け回り、味方をサポートし、ゴールへと迫った。

 今季から「高校3年間でつけていた練習試合用のユニホームの番号で愛着がある」47番を背負う男は、サッカーセンスの塊である。技術の高さは定評があり、戦術理解度も高い。だからこそFWながら大卒1年目の昨季も、4-3-3においてウイングに加え、インサイドハーフでも起用され、鬼木達監督の信頼を得てきた。

 そして昨年末の天皇杯で、登里享平らレギュラー選手の負傷を受けて、彼が新境地を開いたのが左SBであった。

 先のG大阪との富士ゼロックス・スーパーカップ(3-2)に続き、横浜戦でも左SBで先発した旗手は、ゴールには絡めなかったとはいえ、躍動感のあるプレーを披露した。左サイドで組むのは同期のウイング・三笘薫である。阿吽の呼吸で連係して左サイドを崩しにかかり、縦への攻め上がりだけでなく、インナーラップでパスの受け手ともなり、スペースも生み出す。

「彼にしかできない動きをしてほしい。SBの枠にとらわれる必要はない」

 鬼木監督が当初から期待していたプレーぶりを示していると言えるだろう。さらにこのゲームでも、後半途中からインサイドハーフへ回り、改めて柔軟に一人二役をこなしてみせた。
 
 昨季、同期の三笘が大きく注目を浴びたことで、比較されることも多かった。ただ、チームへの貢献度を鑑みれば、より高く評価されて然るべき選手である。様々なポジションで起用されても、求められていることを理解し、それ以上のパフォーマンスを示そうと努力する。そしてイメージを実行するだけのセンスと実力も備わっている。

 前述した三笘との左サイドからの崩しはチームの新たな武器になりつつあり、彼が今後、どのようなSB像を示していくのかも非常に興味深い。

 ただ本来はアタッカーである。居残り練習では、豪快な、そして精度の高いシュートを何本も打ち込んでいる姿も実に印象深い。今後、彼の努力が報われるようなゴール、プレーが生まれることも切に期待したい。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事