「カガワがPAOKの重役を担うには…」香川真司はなぜレギュラーではないのか? 地元紙記者が綴った“現状”

2021年02月23日 サッカーダイジェストWeb編集部

「PAOKはアカデミーの発展に力を入れてきた」

PAOKで奮闘を続けている香川の今を地元紙の記者たちはどう見ているのか。 写真:ZUMA Pressアフロ

 今年2月にギリシャの名門PAOKへの電撃移籍でファンを驚かせた香川真司。だが、国内リーグでは3試合連続でベンチスタートと、多くの出場機会を得られていない。

 決してパフォーマンスそのものが悪いわけではない。現地時間2月21日に行なわれたラミア戦(ギリシャ・リーグ第23節)では、62分からピッチに立ち、移籍後最長となる28分間にわたりプレー。85分には絶妙なクロスでカロル・スウィデルスキの決定機を演出するなど、随所で存在感を示した。

 移籍時にはPAOKの指揮官パブロ・ガルシアも「彼のクオリティは疑う余地がない」とコメントしていただけに、存在感を示しながらも先発機会を得られていない現状には本人も少なからず思うところがあるだろう。

 なぜ、レギュラーメンバーとして起用されないのか。ギリシャ紙『Gazetta』のヴァ氏リス・サンプラコス記者は、ラミア戦後に次のように記している。

「ここ数年、PAOKはアカデミーの発展に力を入れてきたギリシャでは数少ないチームだ。そしてパブロ・ガルシア監督も自前の選手たちを活かし、さらに育て、発展させることに尽くしている。その点ではクラブにおいて最初の人物と言っていいだろう。おかげで多くの若手が注目されるようになっている。

 昨今のコロナ禍における経費削減やファイナンシャルフェアプレーの問題に関係なく、PAOKはそもそもクラブ戦略の一環としてタレントの育成を行なってきた。ゆえに"カガワ"というスターが来ても、特別なプライオリティを置かれないのだ」

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 さらに「チームを混乱させない監督の手腕は見事だ」とも綴ったサンプラコス記者のように、現時点で香川を優遇すべきではないという意見に同調する声もある。同じく『Gazetta』のディミトリス・ツォルバトゾグル記者は、「カガワがPAOKの鍵となるポジションを得るのは容易じゃない」と指摘した。

「今のチームは2列目に位置しているツォリスとワルダの相性が抜群だ。この二人の創造性が最も役に立っているのは言うまでもないだろう。そうなった場合にカガワがキーマンとなり得るのは簡単じゃない。そのことは誰もが理解している。

 良いチームでは最高なプレーヤーが常にプレー出来るだけではない。何よりチームに貢献し、上手く機能できる選手が起用されるのだ。スター性と高いクオリティを持つカガワが重役を担うためには、指揮官を説得する必要がある。彼を使うことでPAOKがより良くなることを示さなければいけない」

 PAOKを追う記者たちから、厳しい指摘を受けている香川。ひとたびピッチに立てば、決定機に絡むことが増えているだけに、調子をさらに上げ、周囲との連係を深められるかが、レギュラー奪取の鍵になりそうだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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