「開幕まで100%固まることはないと思うが」ポジショナルサッカーへ舵を切った浦和、新スタイルの浸透度は?

2021年02月14日 石田達也

札幌戦では1-4の敗戦。課題が散見していた

2年目の武田がアピールを見せる。レギュラー奪取となるか。写真:徳原隆元

 約2週間の沖縄キャンプを終え、大原サッカー場で調整を続ける浦和レッズは、13日に埼玉スタジアム2〇〇2でSC相模原とトレーニングマッチ(正式名称:POLUS presents トレーニングマッチ vs SC相模原)を行ない、5-0(1試合目45分×2本、2試合目45分1本、30分×1本)で勝利を収めた。

 今シーズン、クラブはリカルド・ロドリゲス監督を招聘し、3か年計画の2年目として、相手ボールを奪い縦に速く攻めるサッカーから、ボールを保持し主導権を握るスタイルへと舵を切った。

 沖縄キャンプは、その土台を作るための基礎工事に多くの時間を費やした。Jチームとのトレーニングマッチでは、水戸ホーリーホック戦(4-3)、サガン鳥栖戦(2-2)、北海道コンサドーレ札幌戦(1-4)という結果で終わり、特に鳥栖戦、札幌戦ではビルドアップの面で課題を残す内容となっていた。

 開幕までの残された期間で、どれだけ改善できているのか、チームとしての狙いをピッチで表現できるのか、それが今回のテーマともなっていた。

「水戸とのトレーニングマッチでできたこと、鳥栖戦や札幌戦でできなかったことができるようになることを目指している」(リカルド・ロドリゲス監督)。

 現時点で怪我人やコンディション調整などを除き新スタイルにフィットするメンバーが多く配置されたのは1、2本目。浦和は序盤からボールを回し押し込んでいく。

 基本布陣を『4-2-3-1』とし、守備時には『4-4-2』のブロックを敷き、攻撃時には両サイドバックが果敢に攻め上がり、ボランチがバランスを取る。型に縛られず連動しながら左右両サイドを起点にし、様々な形で敵陣へとボールを運ぶ。

 しかし序盤は、好機は作れど決定機には至らずという展開だったのだが、浦和ユース出身で流通経済大からチームに加入したルーキーDF伊藤敦樹が大仕事をやってのけた。40分、MF武田英寿のコーナーキックにMF阿部勇樹が頭で反らし、FW武藤雄樹の折り返したボールを伊藤が冷静に蹴り込んだ。

「率直に嬉しい」(伊藤)と埼スタ初ゴールに笑顔を滲ませる。

 今シーズン、キャプテンに就任したベテラン阿部とボランチを組み、臆することなく堂々とプレー。2センターバック(CB)とともに攻守でリズムを作っていた。

「CBと阿部さんと自分のところで、どちらかが降りたら真ん中を取ることを練習でやっている。そういう形で1列目を突破できた」(伊藤)

 そして45分には新加入のMF明本考浩マイナスのクロスをMF汰木康也がダイレクトで蹴り込み点差を広げた。汰木は「自分が右サイド深くまで入ってマイナスのクロスに合わせた形。理想を言えば、そこにボランチの選手が入ってきて自分が逆サイドの形をもっと増やしたい」と青写真を描く。

 後半に入ると、前半の勢いはなくなり運動量が低下。全体的に足が止まり圧力をかけられずにいると、相模原のカウンターに脅かされる場面もあったが、このまま2-0で逃げ切り、今シーズン、埼スタでの初勝利を飾った。

【J1】各チームの2021年シーズン予想フォーメーション

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