「負ければ犯罪者のように…」アルゼンチンで元ウルグアイ代表戦士が自殺。実力派FWはなぜ――

2021年02月07日 サッカーダイジェストWeb編集部

精神的に問題を抱えて――

ウルグアイ代表に選出された経験もあるガルシアが自ら命を絶った。 (C) Getty Images

 悲惨な事態が起きてしまった。

 現地時間2月6日、『Tyc Sports』をはじめとする複数のアルゼンチン・メディアは、1部リーグのゴドイ・クルスに所属しているウルグアイ人FWサンティアゴ・ガルシアが、拳銃自殺を図り、この世を去ったと一斉に報じた。

 現在30歳のガルシアは、母国の名門ナシオナルで頭角を現すと、2009年にはウルグアイ代表の一員としてU-20ワールドカップにも出場。その後はブラジルやトルコでもプレーした実力派FWだ。

 この訃報について伝えた『Tyc Sports』によれば、うつ症状のために精神科の治療を受けていたガルシアは、治療のために一時的にチームから外されたこと、新型コロナウイルスの感染拡大で母国にいる家族と約1年間も会えていない状況が、今回の自殺に影響したと報じている。

 ベテランストライカーの突然の死には驚きの声が広がっている。全国紙『Ole』は、「ガルシアはクラブからも外され、家族も遠くに離れ、個人的に深い問題を抱えていた。誰も助けられなかった彼のような選手が生まれないこと願う」と報道。『ESPN』でコメンテーターを務めている元アルゼンチン代表DFセバスティアン・ドミンゲスのコメントを紹介した。

「プロのサッカー選手は短時間で大金を得られるし、短時間で多くの人々に認められ、短時間で大きな力を得られる。ただ、何も得られない、空っぽになってしまう時があるんだ。ガルシアもきっとそうだった。彼は幸せになるための何かが欠けていたんだ」
 
「精神の問題は、金銭や名声、それからタイトルや称号だけで補えるものじゃない。本当に辛い時は辛いんだ。僕は君に対して申し訳なく思う。解説者として。僕は知らずのうちに君を傷つけていたかもしれない。

 勝てば官軍、負ければ犯罪者のように言われる。勝って、勝って、勝って、負けて傷つき、またプレーして、プレーして、プレーして、そういうことを淡々と繰り返していくうちに精神に苦しんでしまうところに陥ってしまうんだ。もしも、苦しんで、悩んでいる選手がいるのならどうか助けを求めて欲しい」

 コロナ禍で孤立状態にあったガルシアの死。彼のように苦しむ選手を救うためにも、サッカー界全体で何かしらの対策を練ることが求められそうだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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