ベールを脱いだ新生“クルピ・セレッソ”。初の練習試合で示した指針と可能性

2021年02月06日 サッカーダイジェスト編集部

徳島との練習試合に貫録勝ち

クルピ新監督の下で新たなスタートを切ったC大阪。今季初の練習試合は豊川(写真中央)らのゴールで勝利した。写真:滝川敏之

 新生C大阪が、ついにベールを脱いだ。2月4日の宮崎キャンプで徳島と今季初の練習試合を行ない、1本目は30分、2、3本目は各45分という計120分の変則マッチを2-1で制した。主力組は2本目途中まで出場し、そのスコアは2-0。豊川と清武のゴールで内容も貫禄勝ちだった。

「まずは手応えを感じている。質の高い選手が揃っており、どの組み合わせがベストか今後も探っていきたい」

 C大阪では8年ぶり4度目の指揮となるブラジル人のクルピ監督は、穏やかな表情で振り返った。

 ロティーナ前監督時代と同じ4-4-2システム(前線は縦関係気味)で臨み、昨季まで在籍した選手を便宜的に主力組としたため、顔ぶれに新鮮さはほとんどない。

 大きな違いは、左右SBの丸橋と松田陸が明らかに高い位置を取ったこと。1点目の豊川のヘディングゴールは、松田陸の縦への速い仕掛けから生まれた。全体的に自陣での横パスを減らし、攻撃に費やす時間を増やした。

 松田陸は「高い位置を気にしながら、監督にアピールできたのは良かった」と言い、豊川は「両SBがいるので、僕はしっかり(ゴール前で)準備するのが大切」と話す。
 
 堅守で昨季は4位と結果を残した前監督との契約を打ち切ったのは、より攻撃的で昨季18チーム中9番目だった総得点を増やすのが理由。まずはゴールに対する選手の意識付けに成功している。

 徳島との試合では、豊川と2トップを組んだ清武が、時にトップ下に位置するなど自由に動き回って存在感を示した。ここにJ1通算最多185ゴールで現在は控え組に回る大久保や、オーストラリア代表FWタガートが絡めば、得点力は増すはずだ。

 クルピ監督を最もよく知る小菊昭雄コーチは「決してロティーナ監督時代の財産を捨ててしまうのではなく、あの手堅い守備を継続させながら、クルピさん独自の攻撃力を注入している」という。4チームがJ2に降格する今季、決して攻撃だけを謳うのではなく、クルピ監督の慎重な姿勢も窺える。

 若手育成の意識は依然として強い。1年目の昨季はプレー時間わずか193分に終わった西川は、宮崎キャンプではFK、CKの役目を任されている。主力に抜てきされ、第2の香川になる可能性はある。

 C大阪はクルピ監督時代の10年、J1で過去最高の3位に入った。クラブが明言した今季の目標は3位以内、ACLでは決勝トーナメント進出だ。現時点で故障者が多く、新型コロナの影響で新外国籍選手が入国できないマイナス要素はある一方、それらが解決されれば優勝争いできる力はある。百戦錬磨の指揮官の手腕が期待される。

構成●サッカーダイジェスト編集部
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