“エムバペ抜き”でも十分に粒ぞろい! 1996年以来の出場でメダルを狙う【東京五輪の注目国|フランス】

2021年02月06日 アントニー・クレマン(フランス『L'Equipe』紙記者)

最終ラインには欧州の強豪クラブで主力を務めるCBペアが君臨

フランスの五輪世代には実力派がずらり。左からクンデ(セビージャ)、エドゥアール(セルティック)、アウアー(リヨン)、ウパメカノ(RBライプツィヒ)。 (C)Getty Images

 いまやビッグコンペティションで輝くのが当たり前のようになっているフランス。にもかかわらず、オリンピック出場は、それだけでも一大事件である。なにしろフ最後にオリンピックに出たのは、アトランタ大会までさかのぼるからだ。

 実際、レ・ブルエ(ユース代表の愛称で「小さなブルーたち」の意味。A代表が「レ・ブルー」と呼ばれている)は、1996年以来多くの失望を味わってきた。だがU-21(エスポワール)代表が19年のU-21欧州選手権でベスト4に入り、東京行きの切符をもぎとったおかげで、とうとう長かったトンネルの出口が見えた。

 ただ、その大会でもフランスはピッチ上で魅惑的だったとは言えず、準決勝であっさり優勝したスペインに1-4の完敗を喫した。だが、肝心のオリンピック出場権はしっかりと掴み、その下の世代も、21年のU-21欧州選手権の予選を見事に突破し、3月と6月に本大会を戦う予定になっている(3月にグループリーグ、6月に決勝トーナメント)。

 シルバン・リポル監督が率いる五輪代表の候補となる選手たちは、瞠目に値するほど粒ぞろいだ。
 最終ラインには、欧州の強豪クラブで主力を務めるCBペア(RBライプツィヒのダヨ・ウパメカノとセビージャのジュル・クンデ)が君臨。中盤にも才能溢れるタレント(リヨンのウセム・アウアー、アーセナルからヘルタ・ベルリンにレンタル中のマテオ・ゲンドゥジ)が揃う。

 アタッカーも多士済々だ。オドソンヌ・エドゥアール(セルティック)は21年のU-21欧州選手権予選の得点王であり、アミンヌ・グイリもニースで今シーズンの"発見"になった。加えて、元パリ・サンジェルマンの超快足FWムサ・ディアビもレバークーゼンで躍動している。

 フランスの若きタレントは、早い段階でディディエ・デシャン監督に招集されてA代表選手になってしまうことが少なくない。キリアン・エムバペはその好例で、エスポワール代表を一度も経験しないままA代表に飛び級してしまった。パリの怪人はオリンピック出場を一時は本気で夢見ていたが、とてもではないが東京訪問は難しそうな気配だ。

 なぜならA代表はEURO本大会に出場しなければならず、ただでさえ過密日程で消耗が激しい今シーズン閉幕後に、レ・ブルーのEUROに加えてレ・ブルエの東京オリンピックを連戦するなど、所属クラブのパリ・サンジェルマンが許可するはずもないからだ。

 したがって、エムバペというビッグスターは登場しないかもしれないが、それでもフランスはかなりのタレントを擁している。メダルを狙うには十分な陣容と言えるだろう。

取材・文●Anthony CLEMENT(アントニー・クレマン/『L’EQUIPE』紙記者)
コーディネート&翻訳・Marie YUUKI (結城麻里)
 
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