【湘南】悔しさを胸に――大竹洋平、さらなる進化を誓う

2015年04月13日 小田智史(サッカーダイジェスト)

初の古巣との対決に、「悔しいのひと言」

古巣・FC東京との対戦に燃えていた大竹だが、相手の守備網に封じされてしまった。調子の良さを活かせなかった悔しさを胸に、さらなる進化を誓う。 写真:田中研治

 試合後のShonan BMWスタジアム平塚に「大竹」コールが鳴り響く――。「オーレ、オレ、オレ、オレー、おおーたけー」。それは、ホームの湘南サポーターからではなく、対戦相手のFC東京のサポーターから発せられたものだった。大竹洋平がいかに多くの人々から愛されているかを表わすシーンだったが、アウェー側スタンドへ挨拶に向かう心境は複雑だった。ふがいない自分へのもどかしさが、感謝の気持ちを上回ってしまっていたからだ。

 2013年、期限付き移籍で湘南に加入した際は契約上の問題でFC東京戦には出られず(負傷中でスタンド観戦)、3年目にしてついに古巣との対戦が実現した。トレーニング時からコンディションの良さに手応えを感じていただけに、「頭から試合に出たいという気持ちが強かった」という。だが、3試合ぶりのベンチスタートとなり、「スタメンを勝ち取れなかった自分の力不足が悔しい」(大竹)。

 出番がやってきたのは、1点ビハインドの71分だった。「途中出場だったので、ボールをたくさん受け、前を向いてゴールに絶対絡んでやろう」とピッチに立った。しかし――。対峙するFC東京が4-3-1-2から4-4-2へシステムを変え、堅い守備にさらに鍵をかけたことで持ち前の攻撃力を封じられてしまう。

 上手くボールを受けられず、スルーパスも不発。期待された決定的な仕事ができなかった大竹は、チームも敗戦したとあって「(古巣に)自分が成長した姿を見せられず、今日は悔しいのひと言」と唇を噛んだ。

 13年11月に前十字靭帯を断裂した右膝にもう不安はない。調子も良い。だからこそ、試合に、そして結果に飢えている。

 湘南のシャドーは、ポストプレーで波状攻撃の起点となる大槻周平、スピードと推進力を武器とする高山薫、裏への飛び出しでゴールを狙う岡田翔平、新加入のテクニシャン・山田直輝らが"ふたつの椅子"を争うチーム一の激戦区だ。これまでフルシーズンを戦い抜いた経験がない大竹にとって、毎試合戦うごとに新たな発見があるが、自身もさらに進化しなければならないと話す。

「調子の良さを発揮できなかったのは、まだまだ自分の力が足りない証。ベルマーレはすごく走るチーム。自分の長所を出しつつ、監督が求めるものをできるようにならなければ、スタメンを任せてもらうのはおろか、当たり前のように試合には出られない。もっと走れるようにならないといけない」

 思い返せば、前述の大怪我で戦線離脱を余儀なくされた時も、大竹は「必ず強くなって復活する」という公言をきっちりと果たしている。これまで数々の試練を乗り越えてきた"不死鳥"ならば、必ずやさらなるステップアップを果たし、「また次やるときは成長した姿を見せられるように頑張ります」とツイッターに綴った新たな公言を実現してくれるはずだ。

取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)

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