名将ファーガソンが「最高になれる」と認めた元逸材が人気銘柄に!? その驚きの“値札”には疑問符が…【現地発】

2021年01月02日 スティーブ・マッケンジー

モイーズの愛娘とのスキャンダルも…

クリスタル・パレスでエースとして君臨しているザハは、今冬のマーケットでの人気銘柄となっているようだ。 (C) Getty Images

 私は数年前にロンドンの南部にあるセルハースト・パークへいった。注目していたのは、当時、マンチェスター・ユナイテッドから復帰をしていたウィルフリード・ザハだった。

 ザハの実力は名立たる指揮官たちが認めるところである。彼を2013年1月に引き抜いたプレミアリーグ史に残る名将アレックス・ファーガソンが、「最高の選手になれる」と太鼓判を押したほどの逸材だった。

 だが、信望していたファーガソンが入団から1年で退任したことをキッカケにザハは過渡期にあったユナイテッドで躓き、将来を嘱望された数多くの逸材がそうであったように、ピッチ外でのスキャンダルで浮名を流す。あのデイビッド・モイーズの愛娘と関係を持ったという噂(本人は否定している)も世間を賑わせたほどだ。

 2015年の夏にクリスタル・パレスへ復帰し、かつての輝きを取り戻していたとはいえ、ザハはメガクラブで失格の烙印を押されてしまった感が否めない。だが、その彼が現在マーケットの人気銘柄となりつつあるというのだ。この1月の移籍市場でミランやパリ・サンジェルマンといった海外のメガクラブが獲得に乗り出しているという。
 
 現在28歳のザハは23年6月までの契約を締結しているため、移籍金は最低5000万ポンド(約70億円)が必要になると考えられている。実際、私はアーセナルが昨夏に4000万ポンドの高額オファーを拒否されたと知り合いの記者からも聞いており、クリスタル・パレスに値引き交渉の余地はなさそうだ。

 しかし、私はそれだけの価値があるとは思えない。たしかに選手としての最盛期にあり、プレミアリーグでの実績もあるとはいえ、パリSGやミランがパフォーマンスにムラがある28歳に付けられた5000万ポンドもの値札を見て買い手となるかと言われれば、懐疑的にならざるを得ない。

 ましてや、各国の主要クラブですら経費削減を余儀なくされているコロナ禍である。ハッキリ言ってしまえば、私は、彼がすでにメガクラブへ移籍するタイミングを逸したと考えている。仮に今冬の移籍市場でメガクラブへの入団が成立すれば、それは紛れもなくサプライズである。

取材・文●スティーブ・マッケンジー(サッカーダイジェスト・ヨーロッパ)

スティーブ・マッケンジー (STEVE MACKENZIE)
profile/1968年6月7日にロンドン生まれ。ウェストハムとサウサンプトンのユースでのプレー経験があり、とりわけウェストハムへの思い入れが強く、ユース時代からサポーターになった。また、スコットランド代表のファンでもある。大学時代はサッカーの奨学生として米国の大学で学び、1989年のNCAA(全米大学体育協会)主催の大会で優勝に輝く。

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