「もうビジャレアルへは貸さない」久保建英の境遇に不満爆発のマドリーも、移籍は“静観”。番記者が明かす退団実現のカギは?【現地発】

2021年01月01日 セルヒオ・サントス

出場機会を与えられなくても、不満を示すことは一度もない

冬の移籍はあるのか? マドリーは久保の意向を尊重するようだ。(C) Getty Images

 久保建英が再び移籍騒動の渦中にある。保有元のレアル・マドリー、レンタル先のビジャレアル、そして久保サイドと三者三様の思惑が絡み合っているこの問題。しかし実のところ、この中で難しい選択を迫られているのはビジャレアルだけだ。

 ビセンテ・イボーラの怪我による長期離脱が確定したことで、後釜の確保が必要になった彼らは、サラリーやレンタル料の負担を考え、久保の退団を希望。ウナイ・エメリ監督もここ数試合、久保よりもジェレミ・ピノをはじめとするカンテラ出身の若手を優先的に起用している。

 一方、マドリーの姿勢は終始一貫している。すなわち今夏のレンタル先探しでもそうだったように、久保の意思を最大限に尊重することだ。そしてその本人が希望しているのは、シーズン終了までビジャレアルでプレーすること。したがってこの膠着状態を崩せるのはビジャレアルしかない。

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 ただ事はそう単純ではない。ビジャレアルは、今夏久保の獲得のために大規模な投資を敢行した。レンタル料だけで、250万ユーロ(約3億1250万円)。さらにそこに同額に設定されているインセンティブが加わり、その一部はビジャレアルがヨーロッパリーグの決勝トーナメント進出を確定させたことで支払われることがすでに決まっている。

 おまけに数字は公表されていないものの、高額と伝えられるサラリーも全額負担している。つまりビジャレアルが1年間久保を手元に置くためこれだけの金額を投じたのは、それだけ即戦力として期待を寄せ、活用する構想のはずだったが、獲得に執心した肝心のエメリが考えを変えてしまった。

 久保はそんな中でも良いパフォーマンスを見せた試合もあったし、期待に応えようと懸命に練習に取り組み続けている。当初約束された通りの出場機会を与えられなくても、不満を示すことも一度もない。マドリーからすれば現在の状況を招いたのはエメリの変心も含めて全てビジャレアル側に責任があり、実際、他のクラブから獲得の打診があった際には、そのままビジャレアルに預けている。
 

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