「連絡したばかりだった…」リバプールを“トレブル”の偉業に導いた名伯楽ウリエが逝く。愛弟子ジェラードらが悲痛の声

2020年12月15日 サッカーダイジェストWeb編集部

「彼は私の仲間であり、良き上司であり、素晴らしい友だった」

ジェラードらを擁してリバプールで偉業を成し遂げたウリエが他界した。 (C) Getty Images

 また一人、サッカー界に功績を残した名伯楽がこの世を去った。

 現地時間12月14日、英公共放送『BBC』をはじめとする複数の英国メディアは、かつてリバプールなどを指揮したジェラール・ウリエ氏が他界したと一斉に報じた。享年73だった。

 プロ選手にはなれずに元々は英語教師をしていたという異色の経歴を持つウリエ氏は、1982年の夏にリーグ・アンの下位にいたRCランスの監督に就任すると、わずか1シーズンでUEFAカップ(現ヨーロッパリーグ)出場へと導き、その名を世界に知らしめる。

 その後、パリ・サンジェルマンとフランス代表監督を歴任した後、1998年7月にはリバプールに就任。マイケル・オーウェンやスティーブン・ジェラード、ジェイミー・キャラガーらアカデミー上がりの若手を抜擢し、2000-01シーズンにはFAカップ、ワージントンカップ(リーグカップ)、UEFAカップを制す"カップ・トレブル"を達成し、キャリアのハイライトともなる偉業をやってのけた。

 3週間前に大動脈瘤の手術を受け、今月13日にはパリ市内の病院から退院したばかりだったというウリエ氏。そんな名伯楽の突然の訃報には、愛弟子や同僚たちからも悲痛な声が上がっている。

 リバプールの地元紙『Liverpool Echo』は、ウリエの下でトレブル達成に貢献したジェラード、キャラガー、オーウェンのコメントを紹介した。
 
「ジェラール・ウリエのニュースを聞き、打ちのめされている。実は先月にリバプールへ来てもらえる手配をするために彼と連絡を取り合ったばかりだったんだ。僕は彼を少しずつ愛し、彼は僕を人としても選手としても変えてくれた」(ジェイミー・キャラガー)

「僕の古いボスであるジェラール・ウリエが悲しいことに亡くなったと聞いて、心を痛めている。彼は素晴らしい監督であり、何より真に思いやりのある男だった」(マイケル・オーウェン)

「ジェラール・ウリエが亡くなったと知り、僕は荒んでいる。彼が僕と僕のキャリアのためにしてくれた全てのことを忘れはしない。どうか安らかに」(スティーブン・ジェラード)

 そしてリバプール時代にウリエの"右腕"としてアシスタントコーチを務めたフィル・トンプソンは、『Liverpool Echo』の取材で「悲観に暮れている」と苦しい胸の内を明かした。

「完全に打ちのめされ、どうしたらいいかという気持ちでいる。彼は私の仲間であり、良き上司であり、素晴らしい友だった。1998年に私たちが一緒になった時のことは、人生で最も素晴らしい瞬間の一つだ。誰よりも忠実で、情熱的で、時に激しい彼と仕事をすることは絶対的な楽しみの一つだったんだ」

 レッズに偉大なる残した名将ウリエ。その突然の死はイングランド・サッカー界に小さくない哀しみをもたらしている。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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