「フットボールを楽しめない」問題続きのVARシステムにイングランドで反発の声が続々!「美しさや魂を失った」

2020年12月02日 サッカーダイジェストWeb編集部

リバプールDFは「レフェリーの肉眼の方がいい」と本音

ブライトン戦でVARの介入でPKを取られたロバートソン(赤)が、そのジャッジに不満をこぼした。 (C) Getty Images

 ビデオアシスタントレフェリー(VAR)は、主審だけでは判断しかねる、あるいは意見が分かれるようなプレーをより明確にする、革新的な導入になるはずだった――。

 しかし、およそ3年前に各国リーグで本格導入が始まって以来、VARは物議の対象となり続けている。もちろん、その介入によって正当なジャッジが下された場面もあるが、重箱の隅をつつく様なジャッジも少なくなく、また使用する基準があいまいで選手や監督が不満を募らせているのが現状だ。

 とりわけ"フットボールの母国"イングランドでは反発の声が絶えない。

 先月21日のトッテナム・ホットスパー戦でVAR介入によって同点ゴールを取り消されたマンチェスター・シティのケビン・デ・ブルイネは、「もう何が正しいルールかが分からない」と苦言。同月28日のブライトン戦で相手FWダニー・ウェルベックに対する微妙な接触が、VARでPKとされたリバプールのアンドリュー・ロバートソンは、公式記者会見の場で、こう語った。

「VARはあらゆることに影響を及ぼしている。僕らは以前まではフットボールを楽しんでいた。試合に行くのが楽しみで、ゴールを祝ったりして、あらゆる瞬間を共有してきた。だが、今はそれとはかけ離れてしまったと思う。

 僕らはずっと一貫性を求めて、適用の見直しを願っているけど、それもない。以前ほど楽しめてないのは間違いないよ。時代とともに変化はあるし、僕も適用していくつもりだけど、フットボールに何よりも重要で、誰もが愛していた価値観を忘れてはいけないと思う」
 
 さらに「もしも、この先もこういうイライラさせられる議論が続くなら、レフェリーの肉眼に任せたい。そっちの方が受け入れるのが簡単だ」とも語ったロバートソンの意見に同調する声は耐えない。英スポーツ専門ラジオ局『talkSPORT』のコメンテーターで、元アイルランド代表FWトニー・カスカリーノは、「フットボールは美しさや魂を失った」とVARを批判した。

「私たちの知っているフットボールには美しさがあった。だからこそ、現在のフットボールのあり方を好きになれない。今のシステムが嫌いだ。私も美しい試合を愛しているが、今のルールは腐敗している。あらゆることが機械的に下された判定によって、フットボールの魂を失ってしまった」

「ロバートソンがペナルティーを取られた場面もそうだ。仮に君たちがあのようなプレーを明白で、明らかなファウルと言うのなら、私はゲームを理解していないし、フットボールを理解していない」

 現行のルールでは、最終的な判断を主審が下すため、その正当性が疑問視される声が後を絶たない。はたして、こうした現場の反発に何らかの改善措置が採られるのだろうか……。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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