「彼がボールを持てば…」名将ヴェンゲル、マラドーナの“偉人ぶり”を絶賛も「神の手は謝罪すべきだった」とキッパリ!

2020年11月28日 サッカーダイジェストWeb編集部

ペレとの比較については――

マラドーナの“歴史的”なゴールをヴェンゲルはどう見たのか? (C) Getty Images

 ディエゴ・マラドーナの訃報を受け、世界各国で著名人がサッカー界のレジェンドの様々なエピソードを語っている。およそ22年もアーセナルを率いたアーセン・ヴェンゲルもそのひとりだ。

 マラドーナといえば、「神の手」を思い出す人も少なくない。1986年のメキシコ・ワールドカップ、イングランドとの準々決勝で誕生した伝説的なゴールだ。

 この時、ゴールを守り、誤審に泣いた"被害者"のピーター・シルトンは、英紙『Daily Mail』のコラムで「彼には偉大さもあったようだが、悲しいかな、スポーツマンシップがない」とマラドーナが謝罪しなかったことへの不快感を表した。それに賛同するかのようにヴェンゲルも、マラドーナは過ちを認めるべきだったとの見解を示している。

 英スポーツ専門ラジオ局『talkSPORT』で、ヴェンゲルは、「あれは『神の手』ではなく、国のためになんとしてでも勝ちたいと望む者のリアクションと言いたい」と述べた。

「時が経てば許せるものだが、あれは『神の手』ではなかった。もちろん、今ではああいうゴールは取り消されるだろう。私は、そう(マラドーナは謝罪すべきだった)言いたい」

 だがもちろん、ヴェンゲルはマラドーナに敬意を払っており、「当然、非常に悲しい。誰もが無理だと予想しても彼は生き残ってきたから、まだ驚いているんだ」と、その死を悼んでいる。
 
「サッカー界全体にとって非常に悲しい知らせなのはもちろんだ。サッカーには、彼が私たちに素晴らしい感動をもたらしてくれた瞬間があったからね」

 マラドーナとペレのどちらが史上最高かという議論は尽きない。だが、ヴェンゲルは「あまり関心がない議論だった。大きな感動を与える偉大な人は多くない。マラドーナには特別なクオリティーがあったと言いたい」と、アルゼンチン代表FWの偉大さを強調した。

「彼の足にボールがたどり着くと、家に帰ったみたいだった。幸せな結婚だったんだよ。彼の足にあるとボールが幸せだったんだ。マラドーナとボールは一緒だと感じたものさ。彼は本当にうまく支配できた。だから、彼がボールを持つと、どんなこともあり得るという感じだった」

 ヴェンゲルに限らず、ボールと一心同体のようだったという表現はあちこちで聞かれる。マラドーナがいかに不世出の天才だったかを示す表現と言えるのではないだろうか。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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