【J1終盤戦のシナリオ|仙台】いまだホーム未勝利で最下位…八方塞がりの状況を打開しうるキーマンは?

2020年11月11日 小林健志

負傷から復帰したイサック・クエンカにも期待

【最新試合の布陣/11節サガン鳥栖戦】

 コロナ禍によりリーグ中断や降格無し、交代枠が5人に増えるなど異例のシーズンとなった2020年のJ1リーグも終盤戦に突入した。ここでは各クラブの番記者にここまでの評価と残されたシーズンでの現実的な目標をアンケートした。

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ベガルタ仙台
今季成績(11月9日時点):18位(勝点14/2勝8分16敗)、残り8試合

【当初の目標】明確な順位目標はなし
【今季ここまでの評価】20点/100点

【採点理由】
 開幕前、明確な順位目標は設けていなかったが、昨季よりもボールを保持したサッカーを見せようと意気込んでいた木山隆之監督。しかし、現実は11月8日時点でわずか2勝。未だホーム未勝利で最下位に低迷している。

 7月のJ1再開後は丁寧なビルドアップからゴールを目指そうと試み、序盤戦は正確なパスをつなげての得点も見られていた。積極的な若手選手の抜擢など、長期的な視野に立った選手起用も多く、順調にチームづくりができているかに見えた。ところが、不用意なパスミスからの失点が減らず、徐々に守備的な戦いを強いられるようになっていった。

 加えて負傷者の続出や過密日程の影響で、メンバーを固定することも叶わなかった。結果を残した選手がその次の試合に負傷で欠場ということも少なくなく、主力選手の不祥事による契約解除という事態まで起こってしまった。連係面が全く整えられない状態となり、負けが込むごとに自信を失う悪循環にはまり込んでしまった。現状では苦境を打開する有効な手立ては見つからず、八方塞がりの状況だ。
 
【注目の一戦】34節・湘南ベルマーレ戦
 現在、最も順位の近い相手とのホーム戦。来季へ希望をつなぐためにも勝利が絶対条件だ。

【終盤戦のベストシナリオ】
 負傷者が多く、選手のコンディション面は厳しいが、このままなす術なく負け続ける状況だけは、何としてでも打ち破りたい。序盤戦出場の多かった小畑裕馬、秋頃から出場機会の増えた田中渉、沼津への期限付き移籍から復帰した照山颯人、加えてユース出身のテクニシャン佐々木匠など、次代を担う選手たちが、ゴールやアシスト、無失点など目に見える結果を残して、来季へ希望をつなぎたい。

 加えて、10月からようやく負傷から復帰したイサック・クエンカにも期待がかかる。キープ力の高さや独特のリズムのドリブル、精度の高いパスなどテクニックは群を抜いている。ただ、コロナ禍や過密日程の関係で練習試合ができない状況のため、周囲との連係を磨くことができないまま公式戦出場しており、ポテンシャルを発揮しきれずにいる。

 試合を重ねて、クエンカと周囲の連係が深まってくれば、序盤戦で見られたような良い攻撃も増えてくるはずだ。昨季より上の順位で終わることは不可能な状況となったが、まずはホームで今季初勝利を挙げ、加えて最下位脱出することができれば、来季への光も見えてくるはずだ。

文●小林健志(フリーライター)
 
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