【サニックス杯】攻守に充実ぶりを示す青森山田が、名門校対決を制す

2015年03月20日 森田将義

主導権を握られながらも要所を抑え、守備でリズムを作った青森山田。

青森山田の10番を背負う神谷は、持ち前のスピードとキープ力で攻撃をリードし、2得点に絡んだ。(写真:菅原達郎/サッカーダイジェスト写真部)

 サニックス杯国際ユースサッカー大会2015は3月20日、グループリーグ2日目を開催。高校年代最高峰のプレミアリーグに所属する東福岡高と青森山田高が対戦した。
 
 東西を代表する名門同士の対戦とあり、序盤から拮抗した展開が続いたが、最初に見せ場を作ったのは青森山田。試合前に黒田剛監督が「守備の意識だけ皆で心がけよう。コンパクトに自分の前ではシュートを打たせないようにしよう。守備を頑張れば必ずチャンスはある」と選手たちに声を掛けると、東福岡に主導権を握られながらも要所を抑え、安定した守備からリズムを作る。
 
 すると31分、自陣でのボール奪取から素早くハーフウェーライン右に開いたMF神谷優太に展開。中央へのドリブル突破から左のスペースにパスを通すと、MF三上孝太が深い位置まで侵入し、ゴール前に低いボールを折り返す。これに反応したFW鳴海彰人が先に反応したニアの選手に「スルー」と声をかけ、自らの下にボールを呼び込むと、そのまま冷静に流し込んだ。
 
 東福岡は失点を機にFW餅山大輝にロングボールを入れる攻撃に比重を移したが、「全部、相手DFに弾かれ、セカンドボールも拾われてしまった。もう少しパスで落ち着くべきだった」(GK脇野敦至)と効果的な攻めにつながらない。後半はMF中村健人を起点としたパス回しで主導権を掴んだものの、シュート0本に終わった。
 
 終了間際には、GKのクリアミスを拾った神谷が、相手DFをかわしてゴール前に進出。GKの逆を冷静に狙った一撃で、青森山田が追加点を奪取。結局、2-0で東福岡に快勝した。
 
 青森山田は例年同様、東北ならではの豪雪に悩まされ、まともなトレーニングを積んでいない。この大会が本格的な始動となったが、それでも、グループリーグを無敗で通過するなど好調を維持する。黒田監督は「マグレですよ」と笑いながら、好調の要因として主将DF北城俊幸を中心とした守備を挙げ、こう語った。
 
「昨年までは甘さがあったが、キャプテンを中心に意思統一して、皆の意識を高めている部分がよく出た。練習がままならない代わりに選手たちに課してきた走り込みや競り勝つ意識を植え付けてきたことも活きている」
 
 攻撃の整備はこれからという状態ながら、3試合で10得点とこちらも出だしは順調。なかでも、今年1月に東京Vユースから転校してきたMF神谷は背番号10に恥じぬ働きを見せ、この日も2得点に絡んだ。
 
 黒田監督も「大雪や集団行動などこれまでヴェルディでは味わったことのない経験をしているはずなのに、戸惑わずに笑顔でやってくれている」とオン・オフを含めたフィットの早さを高く評価。彼のスピードを活かした攻撃の可能性を示した。
 
 前日に大津から3失点したように課題もあるが、「今はいろんな課題を出し切り、プレミアリーグでミスをしないようにしないといけない。全力でやらないと課題は出ないので、そこを一番、気をつけている」(黒田)と折り込み済み。収穫と課題ともに多くを得た青森山田は、グループリーグをトップで勝ち抜き、次は難敵揃いの決勝トーナメントに挑む。
 
取材・文●森田将義(フリーライター)
 
■サニックス杯国際ユースサッカー大会 2015
予選リーグ結果 ※3月20日(金)開催分
 
前橋育英 3-5 大分ユース
 
星稜 0-3 福岡U-18
 
立正大淞南高 2-0 東海大五高
 
国見高 2-0 筑陽学園
 
U-17韓国代表 1(8PK7)1 杭州緑城ユース
 
東福岡高 0-2 青森山田高
 
U-17日本代表 13-0 カヴェンディッシュロードステート(オーストラリア)
 
大津高 0-2 三菱養和SCユース
  
星稜高 1-4 筑陽学園高
 
前橋育英高 0-1 東海大五高
 
国見高 0-1 福岡U-18
 
立正大淞南高 5-0 大分ユース
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