【福岡】城後寿に訊いた盤石の強さの舞台裏。「あの試合、ロッカーに帰った時…」

2020年10月30日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「ここからチームが崩れることはたぶん、ないかな」

連勝記録を止められた町田戦の後の千葉戦では、松本(40番)の決勝点で勝点3をゲット。J2の首位に立つ福岡は、このまま突っ走ることはできるか。写真:田中研治

 サッカーダイジェスト本誌で福岡の城後寿にインタビューした際、在籍16年目のバンディエラは、現在J2で首位に立つチームの興味深いエピソードを話してくれた。

 13連勝がかかっていたアウェー町田戦を0-0のスコアレスドローで終えた直後のロッカールームでのことだ。

「あの試合、ロッカーに帰った時、負けたかのような雰囲気になっていた。ただそれは、みんな勝点3を獲りたい、引き分けじゃ嫌だっていう気持ちがあったからこそ、そういう雰囲気になったと思う」

 過去に3度(2005年、10年、15年)の昇格経験がある城後は、今のチームのポテンシャルを改めて痛感した。

「強いチームになりつつある。上を目指しているチームになってきているのかなと感じた。そういう雰囲気を久々に味わえた」

 連勝記録はストップしたが、「ここからチームが崩れることはたぶん、ないかな」と、手応えを得られた勝点1でもあったようだ。

 そして、続くホーム千葉戦は1-0の完封勝利。城後の"予言"通りの結果となった。

「崩れていくチームなら、次の試合はおそらく落としていたと思う。でも、自分たちは引き分けの後も、しっかり勝点3を取れた。そういう意味では、あの勝点1は、ポジティブな勝点1になっていると思う」

 チームは現在、12連勝を含む15戦無敗。このままの勢いでクラブ史上初となる「J2制覇」での「J1昇格」を成し遂げたいところだが、道のりは決して簡単ではない。続く"アウェー2連戦"は終盤戦のひとつの山場になりそうだ。
 
 今週末の11月1日の磐田戦、その3日後の水戸戦はいずれも敵地での戦いとなる。城後も十分に警戒を強めている。

「またアウェー、アウェーと続くんですけど、磐田は遠藤選手が加入して、調子を上げてきていて、良いサッカーをしている。磐田戦の後は、長谷部監督が昨シーズンまで指揮を執っていた水戸が相手で、水戸の選手も燃えていると思う。このアウェー2連戦は非常に大事になってくる」

 難しい試合が続くが、逆に考えれば、ラストスパートに弾みをつけられるチャンスでもある。

「ここで勝点を上手く積み上げられれば、残り試合も少なくなってきているなかで、下の順位にいるチームにもプレッシャーをかけられる。なんとしても勝点を持って帰りたい」

 冒頭でも記したとおり、福岡は今、J2の首位に立っている。つまり「優勝も自分たちの力で手の届くところにある」(城後)。盤石な戦いを続けているチームは、その流れを途切れさせずに、このまま突っ走ることはできるか。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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