【セルジオ越後】嘆かわしいサッカー界の不祥事…クラブの責任逃れを疑われてもおかしくない事態だ!

2020年10月23日 サッカーダイジェストWeb編集部

Jリーグもまた同じ温度感で危機意識を持つべきだ

酒気帯び運転の疑いで書類送検されたファビオ(左)と、交際相手への暴力で逮捕されていた道渕(右)。ともに契約解除となった。写真:サッカーダイジェスト

 残念なことに日本サッカー界で不祥事が続いているね。10月19日にアルビレックス新潟が酒気帯びで運転をしたファビオと同乗していたペドロ・マンジーの2選手を契約解除とすることを発表し、翌日にはベガルタ仙台の道渕諒平が交際女性に暴力を繰り返し振るっていた問題が週刊誌報道で明るみになり、やはり契約解除を発表した。

 アルビレックスやベガルタはもとよりJリーグにとっても、本当に大きなイメージダウンとなる問題だ。事件を起こしてしまった当事者たちは言うまでもなく、クラブ側もその対応のまずさも含めて責任は重大だよ。

 もちろん、クラブにとって所属選手は本来守るべき人たちだから、事件の真相をしっかり把握して冷静に対処し、短絡的な判断を下さないことは大事だと思う。でも、今回は事件を知りながら通常通り試合で起用し続けたり、週刊誌で問題が発覚して初めて処分を判断したり、対応が後手に回ることでクラブが責任逃れをしようとしていたんじゃないかと疑われてもおかしくない事態になっている。飲酒運転やDVといった社会問題に対しても、一般社会では通用しない認識のずれがあったと言われても言い訳ができないよ。

 スポーツ選手の不祥事は、その背景に抱えているものが決して小さくないから、やはり社会的な反響も大きくなる。クラブを応援するファン・サポーターの存在や、様々な面でサポートをしてくれるスポンサー・パートナー企業があり、クラブがホームタウンとする自治体との関係もある。ピッチでプレーしている時間だけで給料が発生しているわけじゃないということを選手はしっかりと心に刻むべきだ。選手はクラブを象徴する顔なんだ。

 一方でクラブはそうした認識をきちんと選手に持たせる責任があるよ。今回不祥事を起こしてしまったクラブは、そういう教育ができていたのか。契約解除というのは、選手にとって最も重いペナルティになるわけだけど、こうした事態を招く前に、あるいは招かないようにクラブとしても常に対策を講じておかなければいけない。

 そして問題が起きてしまった以上、これらを繰り返さないためにもしっかりと事件を検証しておくことも必要だ。今回で言えば、外国人選手は日本の社会ルールをきちんと理解していたのか、一度問題を起こしている選手の精神的なケアはどうだったのか、そうした部分にも目を配るべきだし、クラブだけでなくJリーグもまた同じ温度感で危機意識を持つべきだ。

 最近はサッカー界にとどまらず、SNSの問題や浮気、大麻所持といった不祥事がスポーツ界全体に暗い影を落としているね。なんとか良いニュースを届けて、世の中を活気づけられる存在であってほしいものだよ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部
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