「お金が目当てじゃない」元神戸監督フィンクが“日本サッカー”を語る「私にとってかけがえのない時間で…」

2020年10月23日 サッカーダイジェストWeb編集部

気になる今後の去就は?

神戸で天皇杯制覇をもたらしたフィンクが日本サッカーについて語った。 (C) SOCCER DIGEST

「この街、このチーム、そしてこのサポーターに別れを告げるのは簡単ではないし、非常に寂しく思う。私は家族のもとに戻るという決断をした」

 先月22日、ドイツ人監督のトルステン・フィンクはこの言葉を残して、ヴィッセル神戸に別れを告げた。

 昨年6月に神戸の監督に就任したフィンクは、アンドレス・イニエスタやダビド・ビジャらを擁したスター軍団を巧みに操舵。見事に天皇杯制覇に導き、クラブ史上初のタイトルをもたらした。

 しかし、さらなる飛躍を期待された今シーズンは、コロナ禍で戦力が安定せず、J1では4勝8分7敗の12位と苦戦。そんななかで退任を決めたフィンクは、在任約1年3か月で、日本サッカーに何を思ったのか。現地時間10月20日に公開されたドイツ放送局『SPORT1』のインタビューで、「本当にスーパーな経験だった」と振り返っている。

「私にとってはかけがえのない時間だ。日本の人々に出会い、日本はどのようなサッカーをプレーしているのか知ることができたし、自分の人生が豊かになる経験ができた。大きな成功も得られたと思う。我々はクラブの歴史上初めてのタイトルを2つも獲得できたんだ。これらを経験できたことは本当に幸せだった」

「最後は家族と一緒にいたいと思った」と退任の理由を改めて打ち明けたフィンク。日本への挑戦を決断した時に、迷いはなかったという。
 
「お金が目当てで日本へ行ったわけではない。とにかくスポーツの面で前進したかったんだ。もちろんサラリーはそれなりに貰ったが、そこに重きは置いていなかった。日本では中国やUAEほど大金を稼げるわけでもないからね」

 さらに神戸について「アンドレス・イニエスタやダビド・ビジャ、ルーカス・ポドルスキ、トーマス・フェルマーレンといった偉大な選手たちと働くことができた。彼らのようなスターとの仕事は興味深いチャレンジだった」と振り返ったフィンクは、実際に肌身で感じたJリーグのレベルについて持論を述べた。

「日本では優れたサッカーも見られた。スピーディーでテクニカル、とてもハイレベルなサッカーが展開され、スタジアムはたくさんの観衆で埋め尽くされていたよ」

 気になる自身の今後については、「私のプランはいつか世界のトップクラブで指揮を執ること」と強調した52歳は、「アジアでの指揮経験が私のキャリアの衰退になったとは思わない」と続けた。

「今は欧州で復帰する監督もたくさんいる。最近の例として、中国から戻って、今はPSVで働いているロジャー・シュミットを見ればいい。ただ、キャリアは思うように上手く進まない時もある。一歩下がらなくてはならない場合もあることを受け止めなければならないね。大きな計画を立てられなくてもビジョンを持つことが大事だ」

 Jリーグでの指揮経験を前向きに「素晴らしい時間だった」と語ったフィンク。一部では現役時代の古巣であるバイエルン・ミュンヘンで役職を得るという噂もあるだけに、今後の動向に注目したい。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部
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