「失恋したようだった…」ヴェンゲル、アーセナル退任時の想いを激白「クラブとの関係を断ち切ろうと思った」

2020年10月12日 サッカーダイジェストWeb編集部

愛弟子アンリへ送ったメッセージとは?

アーセナルを指揮したキャリアの晩年は、批判も絶えなかったヴェンゲルが、当時の心境を明かした。 (C) Getty Images

 約22年にわたって辣腕を振るったクラブへの想いは、いまだ色褪せていないようだ。

 現地時間10月11日に英紙『The Guardian』の企画で、著名人からの質問に答えたのは、フランス人監督のアーセン・ヴェンゲルだ。かつて名古屋グランパスも率いていた名伯楽は、自身が最も長く指揮を執ったアーセナルへの想いを打ち明けたのだ。

 ノースロンドンで残した功績は凄まじい。1996年10月からの約22年で、プレミアリーグ3回、FAカップ7回ものタイトルを獲得。個人としても年間最優秀監督賞を3度も手にした。

 2018年に惜しまれながら退任した思い出深きアーセナル時代について、イギリス人女優のサフロン・バロウズから問われた70歳のフランス人監督は、「辞めた時は、ラブストーリーの終わりのような気持ちだった」と振り返った。

「愛する人たちと話せなくなり、練習場やスタジアムに行けなくなる。ただ、何もせずにいなくちゃいけないんだ。22年も過ごしてきた日常が、ある日突然、ストップする。もちろん乗り越えるのは簡単なことではなかった。

 クラブも私と別れることを望んでいた。だからこそ、あの時の私はアーセナルとの関係を完全に立ち切ろうと思い、試合を見るためだけに、スタジアムにも戻らないと決めた。ただ、一つだけ言えることは、昔と変わらない情熱でアーセナルを応援しているということだ」
 
 今も変わらないアーセナル愛を強調したヴェンゲル。そんな彼が世に輩出した名手を挙げれば、枚挙に暇がない。そのなかでも、元フランス代表FWのティエリ・アンリは、クラブの歴代最多ゴール記録(228得点)を叩き出すなどプレミアリーグ史に残る名手へと成長した一人だ。

 現在はアメリカのMLSに属しているモントリオール・インパクトで指揮官を務めているアンリについて、「アーセナルのボスになるチャンスを与えられるか?」と、熱心なガナーズサポーターとしても知られるハリウッドの巨匠スパイク・リーから問われたヴェンゲルは、こう持論を述べている。

「私はそうなることを願っている。何よりも彼が自分自身の監督人生で成功することをね。そうすれば、おのずとアーセナルを指揮するチャンスも巡ってくるだろう。ただ、私は彼が戻ってくる前にアーセナルにはチャンピオンになってほしいと思う。

 今は、ミケル・アルテタが監督をしているが、なぜリーグで勝とうと考えないんだ? クラブは何よりもアイデンティティーを大事にしなければならない。アイデンティティーは、その価値観を理解できるか、あるいは持っている人々で繋いでいくものだ。その継続性が保たれるべきだと思う」

 愛弟子の"帰還"を待ち望みながらも、何よりもリーグタイトルを欲したヴェンゲル。御年70歳となるが、いまだ勝負師の魂は消えていないようだ。

構成●ワールドサッカーダイジェスト編集部

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