「ブロックを作るだけじゃ守れない」川崎に堅守を破られたC大阪、勝利のみが求められた一戦で見えたのは…

2020年10月04日 サッカーダイジェストWeb編集部

かつては「攻撃は最大の防御」とばかりに、川崎のような攻撃サッカーを展開していたが…

逆転優勝への望みを懸けた一戦で、C大阪は川崎に力負け。終盤、一気に突き放された。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ20節]C大阪1-3川崎/10月3日(土)/ヤンマー

【動画】C大阪・奥埜のテクニカルなヘディングシュート!

 力の差を認めざるを得ない敗戦だった。首位川崎に勝点11差で迎えた直接対決。勝利だけが求められた一戦を1-3で落とし、勝点差は「14」にまで広がった。残り13試合。逆転優勝は限りなく厳しくなった。

 立ち上がりは攻め込まれながら、徐々に主導権を握り、前半はC大阪ペースだった。15分には坂元達裕のFKをブルーノ・メンデスが頭で合わせ、16分には奥埜博亮が相手ゴールに迫る。だが、37分に脇坂泰斗の高速クロスを処理できなかった瀬古歩夢がオウンゴール。苦しい展開で一度は奥埜のゴールで追いついたが、終盤に突き放された。

 試合後、奥埜は力負けを認めた。
「自分たちもボールを握りながらプレーはできたけど、全体的に見て、攻撃の人数の掛け方だったり、川崎さんの方が良かったのかなと思います。攻撃に入ったときの人数を掛ける場所がうまいなと。数的優位を作りながらボールを回していて、隙ができた時にスピードを上げて最後の崩しをしてくる。ブロックを作るだけじゃ守れないのかなと思います」

 アウェーでは2-5の大敗。ホームでも1-3と完敗を喫した。ロティーナ体制で築き上げてきた堅守は、またしても崩された。1失点目、2失点目はCKの流れから奪われたものだったが、大島僚太、三笘薫らを途中起用し質の高い攻撃を展開してくる川崎に揺さぶられ続け、最後に破綻した。

 昨季からロティーナ監督のもとで作り上げてきたサッカーは、ボールを保持することを大前提に、守備時にはブロックを形成し、攻撃時はポジショニングと連動性を意識して組織で崩すスタイル。その完成度が高まり今季は前節まで2位をキープしてきたものの、川崎には通用しなかった。


 ブロックを崩されたことに加え、課題に挙げられるのが爆発力の足りない攻撃面。イバン・パランコヘッドコーチらが練り上げた攻撃戦術を選手がピッチで遂行するのが現在のC大阪だが、相手に対応された時、そしてリードされ構えられた時に苦しくなる。今季の13 勝のうち、逆転勝利は2試合。昨季は18勝のうち、わずか1試合だった。立ち位置や崩し方がある程度は定められているため、個のアイデアなどによる想像を超えた崩しは多く展開できないのが実情だ。結果的に、この日は同点に追いつくのが精一杯だった。

 J1に復帰した17年以降、対川崎では好成績を誇ってきた。いずれも川崎が攻め、C大阪が我慢強く守って僅差で競り勝つ展開だった。だが、その守備を今季は破られた。

 今年の川崎が強い、と言ってしまえばそれまでだが、悲願のリーグ制覇を達成するためには、それを上回らなければいけない。前線にタレントを揃え、かつては「攻撃は最大の防御」とばかりに現在の川崎のような攻撃サッカーを展開していたC大阪。17年以降は手堅いスタイルに方針転換し、今もそれが続いている。堅守をベースとした組織的な戦い方を突き詰めていくのか、それとも変化を加えるのか。優勝が厳しくなったなか、ロティーナ監督は試合後に「我々の目標は何も変わらない。次の試合に勝つこと。それは変わらない」と話している。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部
 

次ページ【動画】C大阪・奥埜のテクニカルなヘディングシュート!

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事