「戦術上のキーマンに」久保建英のPSM最終戦をスペイン紙番記者はどう評価した?「克服できていない課題が…」【現地発】

2020年09月08日 ハビエル・マタ

エメリ監督の中での適正ポジションは?

プレシーズンマッチは全5試合に出場した久保。ゴールやアシストはマークできなかった。(C)Mutsu FOTOGRAFIA

 9月5日、ビジャレアルがプレシーズンマッチ最終戦で、レバンテと対戦。タケ・クボ(久保建英)は、2日のレアル・ソシエダ戦に続いてセカンドトップ(トップ下)として先発出場した。彼は他に左右両サイドをこなせるが、これはウナイ・エメリ監督の現時点での構想の中では、セカンドトップが適正ポジションとして位置づけられている証左だろう。

 セカンドトップでタケに課される役割は、中盤と最前線を繋ぐことだ。そのため左右両サイドに流れたり、前方にできたスペースに走り込んだり、中盤に下がって組み立てに参加したりと、精力的に動き回り続けた。

 したがって、ソシエダ戦がそうだったように、左右両サイドのアレックス・バエナとサムエル・チュクウェゼと横一線になる場面が多く、マイボール時には実質的にはダブルボランチの前方に構える3人目のMFとしてプレーした。エメリがイメージしているのは、この2列目に入る3枚のアタッカーがパス交換やポジションチェンジをしながらチャンスメークを担い、フィニッシュに繋げることだろう。

 一方で、相手にボールが渡ると、タケはすぐさまワントップのパコ・アルカセルと同じ高さまでポジションを上げてフォアチェックを仕掛けた。つまりタケのポジション次第で4-4-2と4-2-3-1の2つのシステムの間を可変するわけで、戦術のキーマンのような立ち位置といえる。

 実際、タケはソシエダ戦と同様に、敵2ライン(DFとMF)間を動き回りながら、積極的に味方のCBやセントラルMFのパスの受け手となっていた。そしてボールを持てば、サイドの選手とのパス交換、あるいはドリブルによる突破から、クロス、ラストパス、シュートを繰り出した。
 
 全体的に見れば、タケはエメリが求めていた役割を果たしていたと言える。ただ惜しむらくは、ゴール前に侵入しても、最後の局面でのプレーに精度を欠いたことだった。

 チャンスはいくつもあった。開始5分には、右サイドからチュクウェゼに鋭いパスを送ったが、ナイジェリア人アタッカーのシュートは大きく外れた。さらに12分には、一気にドリブルでゴール前まで持ち上がったが、バエナに送ったパスは勢いがなく相手DFにカットされた。

 そして44分にも、高度なテクニックと非凡な状況判断力を駆使して絶妙なパスを出したが、マリオ・ガスパールのシュートは枠を捉えることができなかった。

【動画】2点に絡む活躍!ソシエダ戦で披露した久保建英の絶妙スルー&パスはこちら

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