チーム一丸となって掴んだ“サガン”の勝利!活動休止明けの試合を鳥栖はどう戦ったのか?

2020年09月06日 荒木英喜

鳥栖は「気持ち」と「戦術」の両面をしっかりと準備した

復帰戦での勝利は今季ホーム初白星となった鳥栖。写真:田中研治

[J1リーグ14節]鳥栖3-0横浜FC/9月5日(土)/駅スタ

 活動休止を経て、一丸となって掴んだ勝利だった。

 8月12日、チーム内で新型コロナウイルスによるクラスター(集団感染)が発生したことを発表した鳥栖。チームは活動休止となり、練習は選手が個々で行う自主トレのみとなった。ご承知のとおり、その後に予定されていた4試合は延期となった。

 8月26日から活動を再開し、チームによる全体練習も行なわれた。10日間の準備期間で臨んだ活動再開後の初試合ということで、否が応でも注目を集めた今節・横浜FC戦。結果から言えば、鳥栖は3-0で快勝した。

 勝因について試合後に金明輝監督は「様々な要因があるのでこれというのは。挙げるとすれば気持ち。必ず勝ちたいというところが出たゲームだったのかなと思います」と語り、移籍後初ゴールで先制点をもたらした金森健志も「絶対に負けたくない。勝つという気持ちで戦っていました」と、2人とも気持ちの部分を強調した。
 
 1か月ぶりの試合で心配されるのは、コンディションと試合勘。コンディションだけなら気持ちでカバーできるかもしれない。しかし、試合勘はそういうわけにもいかない。簡単に取り戻すことのできない試合勘を補うために、しっかりとした戦術を鳥栖は準備していた。

 これまでの鳥栖なら、相手の保持するボールに対してなりふり構わずプレッシングに走っただろう。だが、巧みなポゼッションからビルドアップする横浜FCに対して、ステイ気味に構えた守備陣形を取り、センターライン付近やサイドにボールが運ばれたところでプレスをかけた。

 ただ待つだけでなく、相手のビルドアップが最終ラインで滞った際にはいつものように前線からプレッシングした。この守備により横浜FCはいつものビルドアップができず、主導権を鳥栖に奪われることとなった。

 敵将・下平隆宏監督は「われわれも試合内容としては悪くなかったと思いますが、それ以上に鳥栖さんの方が素晴らしいゲームをされた」と振り返った。

 ダメ押しとなる3点目のゴールを挙げた小屋松知哉は、気持ちの面とともにチームが一丸となって戦ったことを勝因に挙げた。

「陽性になった選手や陰性の選手やいろいろな立場でチームの大変な時期を過ごしましたけどそういう時こそ、みんなで一つになって戦うべきだと思いますし、その真価が問われる試合でもあった。そういう意味で一歩踏み出せたのはチームがひとつになれたからかなと思うし、気持ちの面は大きかったかなと思います」
 

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