【ACL第2節】柏 5-1 ビン・ズオン|4-3-3で攻め抜き、5ゴールを奪って今大会初勝利!

2015年03月03日 小田智史(サッカーダイジェスト)

キム・チャンスが決めた3点目には、今季のチームが目指す形が表われていた。

1トップで先発した工藤が先制点を含む2ゴール。チームに勢いをもたらした。 写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

「韓国で持ち帰ってきた勝点1と、全北現代に与えなかった勝点3が無駄にならないように、必ず勝点3を取りたい」と前日会見で語っていた吉田監督の目論みどおり、柏は今大会日本勢一番乗りとなる勝利を手にした。
 
 柏は前戦の全北現代戦では5バックを採用したが、この試合では従来の4-3-3システムに戻すと、1トップに工藤、そして大津、太田、山中と今季初先発となる選手を多く起用した。
 
 ビン・ズオンの「寄せが甘かった」(太田)こともあり、序盤から大谷、太田、茨田の中盤でボールをキープしながら、クリスティアーノがドリブル突破、大津と山中は推進力を活かしてクロスを供給するなど、両サイドから相手ゴールに襲い掛かった。工藤の1点目は、クリスティアーノの粘り強い仕掛けから生まれたものだ(相手のミスも絡んだが)。
 
 5得点のうち、チームが目指す「パスと裏を取るシンプルな攻撃」が発揮されたのが3点目。大谷→クリスティアーノ→茨田とつなぎ、最終ラインの裏を取ったキム・チャンスが最後を締め括った。この試合で唯一の流れ(連係)のなかから崩したゴールに、吉田監督も「選手たちの自信になるゴールだと思う」と評価した。
 
 ただし、プレーオフを含めた過去2戦に比べて内容が良かったとはいえ、ゴール前でのパス交換が乱れてのボールロストがあったり、クリスティアーノが突破に固執する場面や、サイド攻撃が一方に偏る時間帯も見られるなど、チームとして本来の破壊力を発揮できているとはまだ言えない。
 
 キャプテンの大谷が、「ネットを5回揺らせたのは良かった。それでも、もっと得点チャンスはあったし、そこは突き詰めていかないといけない。(前節のように)ACLでは現実を見つめる必要があるけど、相手に関係なく自分たちの戦いができるレベルまで持っていくのが理想」と振り返れば、吉田監督も「積み上げる時間が多くはない分、なにかを強調すると、なにかが少し失われていくことは、まだ当分続いていくサイクルだと思う。できるだけそれが小さくなるように、振れ幅の波がだんだん上の方で振れてくるような努力をこれからも続けていきたい」と話す。
 
 3月7日に開幕するJリーグ、そしてACLを戦いながらどこまでクオリティを上げていけるか。収穫と課題を得た一戦となった。

取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)
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