心臓発作で倒れた“戦友”との絆。マンUに移籍したオランダの逸材MFが背番号34を選んだ理由とは?

2020年09月03日 サッカーダイジェストWeb編集部

ユナイテッドは人気のある番号を提示したが…

アヤックスからユナイテッドに入団したファン・デベークが選んだ背番号が話題を呼んでいる。 (C) Getty Images

 現地時間9月2日、マンチェスター・ユナイテッドは、エールディビジの強豪アヤックスからオランダ代表MFのドニー・ファン・デベークの獲得を発表した。英公共放送『BBC』によれば、契約は5年で、移籍金は500万ポンド(約7億円)の出来高ボーナスが付帯する3500万ポンド(約49億円)になったという。

 ユナイテッドにとっては願ってもない補強と言えるだろう。現在23歳のファン・デベークは、15年にアヤックスのトップチームでデビューを飾って以来、日進月歩で成長を遂げてきた逸材だ。確かな技術と労を惜しまないハードワークは、タフなプレミアリーグにおいても十分な戦力になり得る。

 育成の名門アヤックスが生んだ上昇株が、新天地で選んだ背番号は、
「34」。英紙『The Sun』によれば、ユナイテッドは、人気のある若い番号を用意していたが、本人がそれを拒んだという。

 一体なぜなのか。その決断は"戦友"に対する想いからだった。というのも34番は、2017年7月に不整脈で試合中に倒れ、1年以上も昏睡状態(現在は回復)にあったアヤックス・ユース時代からの同期であるアブドゥルハーク・ヌーリが付けていた番号だったのだ。
 
 昏睡状態からは脱したものの、倒れた際に脳が負った深刻なダメージから寝たきりの生活を送っているヌーリを想い、背番号を選んだファン・デベークは、ユナイテッドの公式サイトで、こう語っている。

「この番号は、僕にとって特別で、かけがえのないものなんだ。心臓発作で倒れてしまったアブドゥルハーク・ヌーリのものだからね。僕は彼の家族ともとても仲が良かったし、彼の兄弟とも親友で、よく話す。だから、彼の当時の番号をシャツに着けて、良い思い出を作りたいと思ったんだ」

 現在ローマでプレーしているユスティン・クライファートも、同じ理由で移籍1年目に34番を背負った(現在は99番)。アヤックスからステップアップしていった逸材たちと、その夢が叶わなかったユーリとの絆は、いまも固く結ばれているようだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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