【横浜FC】J1上位陣にも通用したボールを“握る”力!その一方で…C大阪に見せつけられた“強烈な個”

2020年08月31日 須賀大輔

「自分たちの力が50だとしたらセレッソは80の力があるチーム」

松尾(左)と斉藤光毅(右)の若手コンビで一矢報いた横浜FC。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ13節]横浜FC1-2C大阪/8月30日(日)/ニッパツ

 横浜FCの下平隆宏監督は、この試合を迎えるにあたって客観的に自分たちとセレッソ大阪を比べ、力の差があることを認めていた。

「自分たちの力が50だとしたらセレッソは80の力があるチーム。だから、僕らがなんとか60~70くらいまでアップしてちょっとでもよい状況に持っていって、相手の調子が少し悪ければなんとか…。正直、そのくらい力の差はあるのかなと思っている」

 しかし、いざゲームがはじまってみると、良い意味でその予想は裏切られる。C大阪に対してポゼッションで上回り、佐藤謙介と手塚康平のダブルボランチを中心にボールを握っていった。この点に関して下平監督は試合後に「思いのほかゲームを自分たちのペースで運べた」と評価した。

 ただ、ボールを持っていることと、ゲームを優位に運びチャンスを作り出すことができていたかは、また別の問題だ。ゲーム運びやチームの完成度、攻守両面におけるゴール前の質の部分では相手の方が一枚も二枚も上手であった。また、選手一人ひとりを見ても、ファーストチャンスで高いテクニックを発揮し、華麗にゴールネットを揺らした清武弘嗣しかり、いくらゴール前にクロスを放り込まれても慌てるそぶりを一切見せることなくはね返し続けたマテイ・ヨニッチしかり、C大阪には"強烈な個"があった。
 
 対して横浜FCからすると、1失点目も2失点目も自分たちのペースの時間帯、さらにゴール前の人数が足りていなかった訳ではないが、崩されて失点。目下絶好調の松尾佑介も終了間際に2試合連続のゴールを奪い一矢報いたが、これまでの試合と比較して自慢のスピードを生かしたドリブルで縦に突破するシーンは少なかった。

 この試合でも証明したようにボールを握るという面ではJ1の上位相手にも通用する。そこに3連勝とここ最近は結果が付いてきたことで、チームは自信と手応えを掴みつつあった。そんなタイミングで優勝候補の一角から突きつけられた現実と課題。

「まったく力が及ばなかったというわけではなくて、最後は少しC大阪を追い詰めることができた」と指揮官の言葉にあるように決して悲観するべき内容ではなかった。その一方でゴールに関しては点差以上の差を見せつけられた。この結果をどう受け止め、どう解釈するか――。

 横浜FCがもうワンランク上のステージに昇るため、そして、今季の目標である一桁順位を達成するために、このゲームは今後のリーグ戦を戦っていく上で1つの基準となるかもしれない。

取材・文●須賀大輔(フリーライター)

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