「危ないと分かっているのに…」「辞めなきゃダメだ」内田篤人、会見で告白。引退を決心させたルヴァン杯・清水戦の感覚

2020年08月25日 サッカーダイジェストWeb編集部

「試合に出る出ない、勝つ負けるということよりも、自分の中ではすごく辛かった」

引退会見に臨んだ内田。ルヴァンカップの清水戦で抱いた苦悩を明かした。(C) KASHIMA ANTLERS

 8月23日の12節・ガンバ大阪戦をもって現役生活にピリオドを打った鹿島アントラーズの内田篤人が24日、オンラインで会見を行なった。そのなかで、内田は引退を決心させることになった今月のルヴァンカップ2試合について語っている。

「手術したあとの2年近くの空白が一番効いたと思う」
 そう語った内田は、シャルケ時代の2014-15シーズンに膝に大怪我を負い、そのシーズンオフには手術を実施。その後は長きにわたるリハビリ生活を強いられ、公式戦復帰へ多くの時間を要する結果となったことが、引退を早めるきっかけとなったようだ。

 さらに内田は続けて「技術的にというよりも運動能力が落ちたなと一番思った。走る、止まる、ターンするという基本的な能力が、一番ガツンと来たかなと思う」と語る。誰よりもよく知る自分の身体が手術前のトップフォームに戻らない。そうした現実に悩まされながらプレーを続けてきた。

 そして内田は、8月12日のルヴァンカップ・清水エスパルス戦の後に強化部へ引退を伝えることとなる。奇しくも自身の生まれ故郷であるチームとの対戦で、内田は何を感じ取ったのか。
「エスパ戦(だけ)でどうこうというよりは、その前の試合(ルヴァンカップ・サガン鳥栖戦)でベンチに入れてもらった時に、グラウンドレベルで見て、残り10分、20分のプレーを真横で見ながら、自分がこの時間帯でこの強度に耐えるだけの身体はもうないな、というふうに思った中で迎えたルヴァンカップのエスパ戦でした。

 試合は前半抑えながらプレーしたんですが、後半やっぱりもたないし、もっと細かいことを言えば、危ないことが分かっているのに、そこのスペースに行けなくなっていたり、自分が行かなきゃいけないポジションにスピードを持って行けなくなったり、そういうシーンが自分の中で数多くあって、ルヴァンカップのあの試合が自分の中で辞めなきゃだめだという後押しになったかもしれません」

 G大阪戦では、右サイドを何度も駆け上がり好クロスを上げるなど、存在感を見せつけていただけになんとも惜しまれる引退だ。しかし、「正直、終われるなという気持ちが強い。自分をセーブしながらプレーしてきたのは、試合に出る出ない、勝つ負けるということよりも、自分の中ではすごく辛かった」と、引退試合から一夜たっての心境を打ち明ける。

 感性に溢れた日本を代表する右サイドバックは、最後まで自身の感覚を貫き、潔くスパイクを脱いだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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