ユースに上がれず悔しい想いも…セレッソのキーマンに成長した坂元達裕が因縁のFC東京戦に懸けた想い

2020年08月10日 サッカーダイジェストWeb編集部

11分に決定的なダイレクトボレーを放つが…

坂元(中央)は、随所に小川(左)との見応えあるマッチアップを展開。セレッソの攻撃のキーマンとなっている。写真:徳原隆元

[J1リーグ9節]C大阪0-0FC東京/8月9日(日)/ヤンマー

 あのシュートが決まっていれば、古巣との一戦は最高の思い出となっていたに違いない。

 11分、セレッソ大阪の清武弘嗣が左サイドから鋭いクロスをゴール前に送ると、逆サイドの坂元達裕がDFの裏を取って飛び込んでいく。右足ダイレクトで冷静に合わせたはずだったが、これはGK正面。決定機を生かせず、坂元は試合後、反省点を口にした。

「(シュートは)とにかくダフらないように当てることを意識して打ったけど、それが対角に行かず、真ん中に行ってしまった。今日は決定機が何本かあって、自分が決められるチャンスもあったので、そこを決め切らないといけなかった」

 かつてFC東京U-15むさしに所属し、同U-18へ昇格できなかったレフティにとっては、思い入れのある相手との一戦だった。試合前々日には「ユースに上がれず悔しい思いをした。(試合に対する)気持ちは強いし、成長している姿を良い意味で見せつけられるようにしたい」と意気込んでいた。だが、自身に訪れた決定機を仕留めることはできず、試合は悔しいスコアレスドローに終わった。

 J2山形からの新加入。プロ2年目の背番号17はC大阪にとってもはや不可欠な存在となっている。開幕から右MFとして定位置を確保。ルヴァンカップを含め、ここまでの公式戦全11試合に先発出場するなどロティーナ監督の評価も高い。5節・広島戦でオウンゴールを誘発し、7節・鳥栖戦では強烈な左足ミドルでJ1初ゴール。8節・湘南戦ではドリブル突破で決勝点につながるPKを獲得するなど、決定的な働きもこなしてきた。


 数字以上の脅威を与えている坂元に対して、相手も放っておくことはない。この試合ではマッチアップしたFC東京の小川諒也が激しく寄せ、得意のキックフェイントにも対応してきた。相手の研究が進んでいることは本人も実感している。

「もちろん通用した部分もあったけど、けっこうキックフェイントも対策されているなかで、クロスの精度だったり、中に入っていってのシュートでうまくいかないこともあった。そこは課題ですけど、陸くん(松田)ともいい関係を作って、チャンスも作ることもできていた。そこは次の試合にも繋げていきたい」

 最大の決定機を逃したとはいえ、松田との連係でチャンスは作るなど、見せ場がなかったわけではない。持ち味のドリブル突破を警戒されていたことは、その存在を認められた証でもある。

 現状に満足することなく、将来的な目標に「日本代表」や「海外移籍」を掲げる坂元。この一戦を視察した日本代表の森保一監督に存在をアピールできたか分からないものの、まだまだ伸び盛りの23歳には無限の可能性が秘められている

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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