【現役監督のCL展望】勝利が絶対条件のユベントスは、リヨンのカウンターに警戒

2020年08月07日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

両チームのコンディションは対照的

ユベントスはCL最多得点者C・ロナウド(左)の、リヨンは約7か月ぶりに実戦復帰したデパイ(右)の出来が勝負を左右する。(C)Alberto LINGRIA,Getty Images

[チャンピオンズ・リーグ ラウンド・オブ16 第2レグ展望]
ユベントスvsリヨン
●日時:8月7日21時(日本時間28時)キックオフ
●会場:ユベントス・スタジアム
●欠場者
・出場停止:ユベントス=なし、リヨン=なし
・欠場濃厚の負傷者:ユベントス=ディバラ(FW)、D・コスタ(FW)、ケディラ(MF)、キエッリーニ(DF)、デ・シーリオ(DF) リヨン=なし
●第1レグの結果:リヨンが1-0で勝利
 
 両チームのコンディションは対照的だ。週2試合を2か月近く続けたユベントスは心身ともに疲弊しており、それはパフォーマンスや結果に表われている。
 
 36節で優勝を決めたが、主力の出場時間を管理した37、38節は連敗。36節で負傷交代したディバラは全治約2週間で、回復が遅れているD・コスタ、キエッリーニらとともに、このゲームは出場が危ぶまれている。
 
 一方、5か月以上も公式戦から離れているリヨンは、この一戦を迎える前の公式戦が、パリSGと対戦したリーグカップの決勝(7月31日)のみ。フィジカル的にはフレッシュと言えるが、試合勘やメンタル的なインテンシティーの持続といった部分は未知数だ。
 
 試合展開は3月の第1レグ(1—0でリヨンが勝利)と同様、ユベントスが主導権を握り、リヨンは10人全員がボールのラインよりも後ろ下がる重心の低い実質5—3―2で迎え撃つと予想する。
 
 勝利が絶対条件のイタリア王者は、攻め急いだ末にボールを失い、カウンターを食らう展開を徹底して避けたい。落ち着いてボールを回し、相手を揺さぶり続けてチャンスをうかがう忍耐力が求められるだろう。セットプレーも重要な得点機になるはずだ。
 
 ユベントスが勝ち上がるには1—0では不十分だが、このチームはリードした状況で試合をコントロールし、精神的優位に立って止めを刺すしたたかさと経験値を備えている。
 
 ただ、C・ロナウドやイグアイン(あるいはディバラ)らアタッカー陣の守備での貢献度が極めて低いため、ネガティブ・トランジション(攻→守の切り替え)に弱点を抱えている。リヨンに勝機があるとするなら、自陣でのボール奪取からロングカウンターで先制し、2試合合計2—0というスコアを最後まで守り切る展開に持ち込めた場合だろう。
 
分析●ロベルト・ロッシ
翻訳・構成●片野道郎
※『ワールドサッカーダイジェスト8月6日発売号』より転載。同号では、一発勝負の短期決戦となるチャンピオンズ・リーグを大展望している。
 
【分析者プロフィール】
1962年3月16日生まれのイタリア人監督。MFだった選手時代は名将サッキや元日本代表監督のザッケローニに師事し、99年に引退。01~08年はインテルなどでザッケローニのコーチ兼スカウト。その後はイタリアの下部リーグで監督を務め、19年1月からチェゼーナ女子(セリエB)を率いる。
 
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