「すべてを持っている選手だからこそもどかしい」スペイン紙記者が久保建英に求める“たったひとつの課題”

2020年08月01日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

「タケはサッカー史に名を残せる選手」

久保が一流選手の仲間入りを果たすために克服すべき課題とは……。(C)Getty Images

「タケはすべてを持っている。プレークオリティーは申し分ないし、ビジョンはあるし、ドリブルは上手いし、スピードもある。それから、周囲と連携してプレーする力もね」

 満面の笑顔で久保建英を絶賛するのは、現在発売中の「ワールドサッカーダイジェスト」で、シーズンのベストプレーヤーを選出するための座談会にも参加しているスペイン紙『AS』のセビージャオフィス責任者、ホセ・アントニオ・エスピナ記者だ。
 
 久保について「すべてを持っている」と語る同記者だが、だからこそ、物足りなさを感じている部分もあるという。

「タケのプレーには人を魅了する力があるし、観ていて楽しい。ここスペインでは、とくに愛されるタイプの選手だ。もちろん、タケがメッシになれるかと訊かれたら、イエスとは言い切れない部分もあるけど、でもタケが今後トップレベルの選手、つまり、ワールドクラスと呼ばれる選手になるには、ある技術をさらに磨く必要がある。シュートだ」

 課題はフィニッシュ精度の向上にあり――。そう言い切るエスピナ記者はこう続けた。

「あんなにドリブルが上手くて、何度もゴールに近い位置まで入り込んでいけるのに、シュートが決まらない。そこにたどり着くまでのプレーの一つひとつが本当に素晴らしいだけに、もどかしいんだ。シュートを撃つのはいい。でも大切なのは、ネットを揺らすこと。タケがラ・リーガ1年目の、まだ19歳の選手であることは知っている。ただマドリー戦でも、何度か惜しいシーンがありながら、結局はノーゴールに終わっている。あれを決めていたら……」

 いま以上にオファーが殺到していただろう、とエスピナ記者は言う。

「もしタケが"ゴールを身につける"ことができたら、バルサやマドリーでも長い期間プレーできるような、真のワールドクラスになれる。タケは日本人とかそういう枠を超えて、サッカー史に名を残せる選手だから」

 最後に、日本人の中にはフィニッシュワークを苦手としている選手が多いことを伝えると、エスピナ記者は笑いながらこう返してきた。

「タケが持っている資質の中で僕が一番好きなものを教えよう。あの流暢すぎるスペイン語だ(笑)。あれには、いつも驚かされる。そんな日本人には出会ったことがないからね。タケはいい意味で日本人離れしている。だからきっと、決定力不足も難なく克服するだろう。僕はそう信じているよ」

取材●山本美智子
構成●ワールドサッカーダイジェスト編集部
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