【川崎】逆転勝利に導くも反省を口に――プロ初ゴールの三笘薫に訊いた今後の課題

2020年07月27日 本田健介(サッカーダイジェスト)

「初ゴールよりも…」

チームメイトに祝福される。プロ初ゴールは貴重な逆転弾でチームを勝利に導いた。(C)SOCCER DIGEST

[J1第7節]川崎3-1湘南/7月26日/等々力

 リーグ再開後、5連勝と好調の川崎は7節、ホームで湘南と対戦。前半から相手を押し込みチャンスを作るも、モノにできずにいると、57分に湘南のタリクに豪快なオーバーヘッドを決められて先制を許す苦しい展開となった。

 しかし、流れを変えたのが直後に鬼木達監督が投入したMF大島僚太とMF三笘薫だった。この日はターンオーバーでベンチスタートだった司令塔の大島は、失点から4分後の61分に相手のCKからのカウンターに抜け出すと、並走した山根視来に丁寧なパスを通して、同点ゴールを演出。このカウンターの起点になったのは三笘でもあった。

 川崎のアカデミー出身で、筑波大を経由して、今季、クラブに戻ってきた大卒ルーキーのドリブラー・三笘は今度は78分に、左サイドで相手のトラップミスを見逃さずにボールを奪うと、カットイン。

「一発でいければ良かったんですが、相手のDFの選手も足が速くて、これは追い付かれると思ったので、一旦、スピードを抑えて、シュートの隙を窺って股を開かせるように運んで、イメージ通りのゴールでした」

 そう振り返るように"ヌルヌルドリブル"と評されるような独特のタッチでボールを持ち運ぶ三笘は、タイミングを見計らって相手DFの股、そして相手GKのニアサイドを抜く、右足でのグラウンダーのシュートを見事に突き差し、逆転ゴールを決めてみせたのだ。これが嬉しいプロ初ゴール。チームはその後、こちらもこの日はベンチスタートだったMF田中碧が加点し、3-1で勝利を収めた。

 もっともゴール後はベンチに駆け寄り、チームメイトと喜びをともにした三笘だが、試合後のオンライン取材では「初ゴールよりも他のプレーのほうが印象が強く、嬉しいですが、課題のほうが大きいと思っています」とその顔に笑顔はなかった。
 では具体的に今、どんな課題を抱えているのか。訊いてみると次のように答えが返ってくる。

「今は流れを変えるところを求められているので、そこに徹していますが、やっぱりスタートで出て、90分で高いパフォーマンスを見せるところはやっていかなくちゃいけません。守備の強度だったり、今日もミスが多くあって、チームに迷惑をかけるところもありました」

 ともに試合途中からの出場であったが、前々節の横浜FC戦では値千金のPKを奪い、前節の仙台戦でも好プレーを見せた。しかし、より幅を広げる必要があるとも続ける。

「今はチームが悪くなってから、(試合に)入っているので、オープンな展開になった時は、自分が得意な形が多いので、それで良い形が増えているように見えます。ただ、まだどのようなシチュエーションがあるか分からないですし、そういったところでどのようなパフォーマンスを見せられるか未知なところもあるので、今後は他のパターンでもできるように証明したいです」

「チームに貢献できたことは嬉しい」と話すが、向上心の塊は、さらなる高みを目指しているのだろう。プロ初ゴールは通過点にすぎないはず。期待のドリブラーの成長の可能性は無限大に広がっていそうだ。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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