【セルジオ越後】天国か地獄かの欧州リーグと負けても安心のJリーグ。成長を促すのはどっち?

2020年07月24日 サッカーダイジェストWeb編集部

怪我人も続出する過酷な環境の中、総合力で川崎が抜けている

川崎戦では果敢に仕掛けた横浜FCの斉藤。さらなる飛躍が期待される18歳だ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 Jリーグが再開してJ1が5試合、J2が6試合を消化した。週2回の連戦、そして梅雨の蒸し暑さもあって、まだ始まったばかりだというのに、怪我人がけっこう出ているようだね。足をつったり、肉離れをしたり、骨折という話も聞こえてきた。

 新しいレギュレーションとして、交代枠が5人に拡大されたけれど、やはり4か月もの中断のあとに、過酷な環境の中、コンディションを整えて公式戦に臨むのは簡単ではなかったようだね。

 ゲーム内容を見ても、よく点が入る試合が多いけど、後半になるほど息切れして点が入るケースが多いよね。ここ最近の横浜FCがいい例で、5節の川崎戦(1-5)や6節の横浜戦(0-4)は、前半はアグレッシブに戦って食い下がるけど、後半はパタッと足が止まって大量失点。横浜FCはカズや俊輔といったベテランに注目がいくけど、決して実際のピッチ内の平均年齢が高いわけじゃない。

 要するに、過密日程だから若くて走力がある方が有利かと言えば、そういう話でもない。交代枠が増えたから最初から飛ばしていこうというやり方では、足が止まるのは当然だし、後から出てくる選手の質という部分や、ゲームの流れに合った選手起用ができるかが問題なんだ。

 その点で言えば、鹿島もまだまだ安定した戦いができていないね。5節にようやくリーグ初勝利を挙げたかと思えば、次は再びノーゴールで湘南に初勝利をプレゼントしてしまった。昨年の王者・横浜もまだ湘南と横浜FCに勝っただけで、優勝争いに加わりそうなFC東京やガンバなどには競り負けている。違いを生み出すという面では、まだ物足りない。違いを生み出す選手と言えば、イニエスタもここ数試合のパフォーマンスを見ると後半はガクッと運動量が落ちてきつそうに見えた。彼の代わりが務まる選手はいないから、神戸は今後怪我のリスクも考えながら起用しなければいけないだろう。

 どこも選手層に不安を抱えていたり、試合ごとに波があったりするけど、そんななかで今は川崎の総合力がリーグの中で頭ひとつ抜けているよね。脇坂や田中、長谷川といった選手が新しく主力に定着して、小林も怪我から戻ってきた。ここ数試合はその小林が途中出場でゴールを決めて勝ち切っている。好調な点取り屋がベンチに座っているのは大きいよ。

 今後はこの川崎を軸に、今季まだ負けのない名古屋や多摩川クラシコでの完敗以来立ち直ってきたFC東京、あるいは勝点3差で迫っている大阪勢の2チームなどがどこまで食い下がれるかが見どころだね。
 

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