【C大阪】スペイン人指揮官はなぜ二人のエンターテイナーを共存させないのか?

2020年07月23日 サッカーダイジェストWeb編集部

今季いまだ実現していない清武と柿谷の共演。同時起用の可能性はないのか

ロティーナ監督(中央)は今後、清武(左)と柿谷(右)を同時起用することはあるのだろうか。写真:滝川敏之

[J1リーグ6節]C大阪0-0神戸/7月22日(水)/ヤンマー

 勝てなかったけど、負けなかった。C大阪にとっても、神戸にとっても同じような印象が残る阪神ダービーだった。見応えたっぷりで、攻守においてハイレベルな一戦はどちらも決定機を迎えながら、スコアレスドローに終わった。

 白熱した90分間を終え、C大阪のロティーナ監督はこう振り返っている。
「今日は難しい試合だった。守備で大きな仕事量が求められる試合で、とても難しい試合を予想していた中、その通りの試合になった。前半は拮抗した試合で、後半はこちらの時間帯が増えた。試合全体を見返すと、チームの出来には満足している」

 スペイン人指揮官の「満足している」という言葉は率直な感想だろう。試合後、上限いっぱいの4981人のサポーターから選手たちへ拍手が贈られたように、オーガナイズされた組織と個々のクオリティの高さが合わさり、イニエスタらタレントを揃える神戸と互角に渡り合った試合は賞賛に値するものだった。ただ、多くの選手が今季の目標としてリーグ制覇を掲げる中で、ホームで得た勝点は「1」。勝つ術はなかったのか。

 やや残念だったのが、こういった膠着した展開でも、清武と柿谷の共存を見られなかったこと。C大阪において突出した個の技術を持つ二人だが、ロティーナ監督のもとでは左MFのポジションを争う形となっており、併用が続いている。同時にピッチに立ったのは開幕の大分戦が最後で、リーグ再開後は一度もない。この神戸戦でも、疲れが見えた清武が76分にベンチへと退いた後、86分から投入された柿谷が左MFに入っている。わずかな出場時間ながら、89分に好機を演出した場面など、ボールを持てば恐さを発揮した柿谷。本来はFWを主戦場としており、一瞬の飛び出しなど裏抜けも得意とするだけに清武との共存は可能だが、その機会はまだ与えられずにいる。

 ただ、ロティーナ監督の思惑も理解できる。今季は新型コロナウイルスの影響で前例のない過密日程を強いられており、過去3年間に長期離脱のあった清武には怪我の不安がつきまとっている。現在、左MFとして攻撃に変化をつけられる清武の代役が柿谷しかいないのが実情で、ターンオーバーして併用せざるを得ない状況ともなっている。

 ここまで開幕から4勝1分け1敗と好調を維持しているC大阪。新加入の坂元が右サイドで2人に勝るとも劣らない打開力を発揮しているのは心強いが、過密日程による疲労に加え、いずれは相手も対策を練ってくるはずだ。背番号8と背番号10の同時起用は今後、手詰まりになった時のオプションとして十分に考えられる。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

【J1第6節PHOTO】C大阪0-0神戸|C大阪対神戸の関西ダービーは、互いに攻め合うも0-0のスコアレスドローに終わる
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