【三浦泰年の情熱地泰】"エンターテインメント"ではなかったJ2の再開試合。僕が厳しい評価をする理由

2020年07月04日 サッカーダイジェストWeb編集部

周りの目も、当事者たちも妥協を許してはいけない

リモートマッチ(無観客)で行なわれたJ2の再開マッチ。三浦氏の評価は…。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 Jリーグが再開した。

 無観客でTV観戦という味気無さも手伝ったせいか、僕の感想はあまり芳しいものではない。正直、精度の低いプレーが目立ち、本来の雰囲気との違いも重なり躍動感や内容の濃さも感じられない試合が多かったと思う。

 フル視聴を選んだメインの試合は2試合。ハイライトで他の全ての試合もチェックした。両者得点の入った、ゲーム的には面白く見えるハイスコアの試合もあったが、ミスからミスへとボールが渡るシーンも多く、セットプレー絡みの得失点も多い。集中力とアラート感に欠けたプレーが目立っていた。

 そんな事を言えば今の世の中、厳し過ぎると批判を浴びるかもしれないし、再開までにどれだけの人が努力を重ね試合開催に漕ぎつけたのか……と、影の人の努力まで水の泡にしてしまう冷たい言葉と勘違いされがちだが、言いたい事はそうではない。

 再開にあたり、リスペクトすべき人たちはたくさんいる。本当に感謝の気持ちでいっぱいだ。

 ただ、再開にあたり努力をした人たちに誠意で応えるのと、プレーへの評価は別になる。まだ、この時点で、J2、J3カテゴリーでは期待通りのパフォーマンスは見られなかったという事なのだ。

 プロ選手、プロクラブに対して正直に言えばであり、週末のTVの評論家の「喝」と「あっぱれ」を言う立場でも仕事でもないのだから、その痛みを分け合う立場として叱咤激励をさせてもらったのだ。

 4か月もストップした挙げ句に、充分な準備が出来ず、慣れない事ばかりのコロナ対策のなかで行なった公式戦だが、その試合がコロナの影響を忘れさせてくれる「エンターテイメント」ではなかったと言う事なのだ。

 ただ皆が必死にスタートさせた歴史的な日になったことは間違いない。そして今週末からJ1が再開する。日本最高レベルのカテゴリーが日本のリーグ「Jリーグ」の魅力を思い切って発揮してほしい。

 Jリーグは発足して丸27年が経過した。まだまだ走り続けなければならない日本サッカー界。

 J2、J3だからまだ許されるかもしれないが、もっと厳しい評価をしていかなければいけない。この後にあるワールドカップ予選や東京オリンピック。そしてワールドカップ予選、本戦を勝ち抜いていかなければならないのだから。

 周りの目も、当事者たちも妥協を許してはいけないのだ。そしてJリーグは、やはりJ1リーグから再開するべきだったと言われるようなリモートマッチを見たい。

 そしてリモートマッチではもったいない。「この選手は生で見なければ、もったいない」と言われるような熱いプレーが見たいのだ。
 

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