「勝ち上がるに値しながら敗れた日本人たちを…」名将デル・ボスケ、“ロストフの悲劇”で散った日本代表を語る!

2020年06月13日 サッカーダイジェストWeb編集部

世界一の指揮官の記憶に残る日本代表の振る舞い

スペイン代表をワールドカップ優勝に導いたデル・ボスケは、日本代表の振る舞い強いインパクトを受けたようだ。 (C) Getty Images

 今から10年前に母国スペインを初の世界王者へと導いた名将ビセンテ・デル・ボスケは、まさに歴史的なレジェンド指揮官だ。

 2010年の南アフリカ・ワールドカップで、デル・ボスケが率いたスペイン代表は、シャビやアンドレス・イニエスタ、ダビド・シルバら技巧派を中心にした華麗なパスサッカーで大会を席巻。ファイナルで難敵オランダを退けて世界の頂へと立った。

 それから歳月が流れ、スペインはメジャー大会で当時の勝負強さを発揮しきれずにいる。連覇を期待された2014年のブラジル大会では、まさかのグループリーグ敗退……。続く2018年の大会では決勝トーナメント1回戦で開催国ロシアにPK戦の末に競り負け、早期敗退を余儀なくされた。

 そんな母国の現状をデル・ボスケは、どう見ているのか。スペイン紙『AS』の取材に応じた名将は、「世界王者として、あれだけ大きな責任を背負うと、負けるのは苦痛になる」と語った。

 ワールドカップでの苦い記憶について語った69歳のスペイン人指揮官は、ロシア大会における日本代表についても言及している。
 
 スペインと同じくロシアW杯ではラウンド・オブ16で涙を呑んだのが日本だ。ロストフで行なわれたベルギーとの決勝トーナメント1回戦は、苦々しい記憶として残っている。

 原口元気と乾貴士のゴールで、2-0とリードしながらも後半に連続失点。そして、後半アディショナルタイムに高速カウンターから最後はナセル・シャドリに逆転弾を決められ、史上初のベスト8進出の夢を絶たれた。

"ロストフの悲劇"とも言われるショッキングな敗戦。それでも日本の選手たちは、試合後にドレッシングルームを清掃し、ロシア語で「ありがとう」と記したメッセージを残した行為は、海外メディアからも称賛を浴びた。

 世界から賛辞を集めた日本代表の振る舞いを引きあいに、デル・ボスケは母国スペイン代表との違いを説いた。

「1つの結果によって苦しむことは決してない。私はロシア・ワールドカップで勝ち上がるに値しながらも敗退していった日本人たちをいつも思い出す。彼らはベルギー戦の後にドレッシングルームを掃除して帰っていった。おそらく我々とは違う価値観なのかもしれないが、あれはサッカーでは常に次があることの証明だ」

 スペイン・サッカー史が誇る名将にとっても、サムライ戦士たちの振る舞いは、強く印象付けられるものだったようだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部
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