【アジアカップ】“つなぐ”サッカルーズ、決勝への期待と不安|オーストラリア 2-0 UAE

2015年01月28日 熊崎敬

オーストラリアは後半、攻撃が形にならず…。

デイビッドソン(3番)の2点目が象徴するように、つなぐサッカーは機能しつつあるが、まだまだ完成途上。韓国とのリベンジマッチとなった決勝に、オーストラリアはどう挑むのか。 (C) Getty Images

 キックオフから14分で、勝負はほとんど決まってしまった。
 
 3分、ルオンゴの右CKをセインズバリーが頭で叩き込む。UAEのマークはケイヒルに集中。ワンテンポあとに飛び込んできたセインズバリーを、ほとんどフリーにしてしまった。
 
 キックオフ直後の先制点で勢いに乗ったオーストラリアは、あっさりと追加点を決める。
 
 14分、今度は右サイドから敵陣を切り崩してデイビッドソンが左足シュートを突き刺した。
 
 このゴールはケイヒル、レキ、ルオンゴなど6人の選手を経由して生まれた。起点となったのは右SBフラニッチで、決めたデイビッドソンは左SB。つまり、多くの選手がゴール前に攻め上がっていたことになる。それはポステコグルー監督が導入したポゼッション・スタイルの結実を意味する、価値あるゴールだった。
 
 かつてのオーストラリアはサイドへボールを持ち出し、ルックアップするたびにアーリークロスを放り込んでいた。だが、いまは違う。一旦、サイドに持ち出しても、簡単には放り込まない。
 
 右ならクルーズとフラニッチ、左ならレキとデイビッドソン。ウイングとサイドバックがコンビを組み、パスをつないで深くえぐろうとする。2点目が、まさにそんな形だった。
 
 スコア通りの順当勝ち。オーストラリアはUAEを退け、決勝に駒を進めた。
 
 とはいえ、その内容は決してほめられたものではない。
 
 後半は攻撃が形にならず、逆にテクニックとスピード、創造性を兼ね備えたUAEの攻めに背後を取られる場面が目立った。
 
 要注意人物O・アブドゥラフマンが繰り出す際どいパスは、スピラノビッチが鋭い読みで抑え続けたが、2点止まり。煮え切らないまま終わってしまった。
 
 4日後、オーストラリアは初優勝を懸けて韓国と戦う。これは0−1と敗れたグループリーグ3戦目のリベンジマッチ。ブリスベンの借りを、シドニーで返すことができるだろうか。
 
 ブリスベンでは結果でも内容でも韓国が上回った。チームの完成度では韓国が上。この構図は決勝トーナメントに入ったいまも変わっていない。
 
 韓国は5試合無失点。攻撃のバリエーションやテクニックで、ポゼッション・スタイル移行中のオーストラリアを凌駕している。
 
 地の利があるとはいえ、開催国が勝つには、やはりエース、ケイヒルの爆発が欠かせない。中途半端なポゼッションに固執するより、伝統のパワープレーを押し出すほうが結果が出るのではないだろうか。
 
 つなぐのか、放り込むのか。
 
「サッカルーズ」の初優勝は、この決断に懸っているといえそうだ。
 
取材・文:熊崎
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