シェフチェンコ、“イスタンブールの傷”は癒えず。大逆転負けを喫したリバプール戦を回想 「まだ見れない…」

2020年05月08日 サッカーダイジェストWeb編集部

古巣の不振については…

名手デュデクのファインセーブで決定機を阻まれたシェフチェンコ。そのシーンは本人にとってもいまだ忘れられない記憶のようだ。 (C) Getty Images

 2004-05シーズンのチャンピオンズ・リーグ(CL)決勝で、ミランはリバプールにPK戦の末に敗れた。前半だけで3点をリードしながら、後半に3失点を喫した「イスタンブールの奇跡」だ。

 まさかの展開で突入した延長戦の終了間際、ミランはエースのアンドリー・シェフチェンコが絶好機を迎えた。118分、左からのクロスにシェフチェンコが頭で合わせる。だが、リバプール守護神イェジー・デュデクに阻まれた。

 こぼれ球に詰めたシェフチェンコだったが、驚異的な反応を見せたデュデクに再びシュートをセーブされてしまう。決まれば、趨勢を定められたであろう一発を防がれ、シェフチェンコは頭を抱えた。

 約15年が経っても、このプレーはシェフチェンコの脳裏に残っているようだ。

 イタリア衛星放送『Sky Sport』によると、クリスティアン・ヴィエリとのインスタグラムでの対談で、シェフチェンコは「今でもまだあのセーブを見ることはできないんだ」と明かしている。

「数か月前、UEFAがインスタグラムにデュデクのセーブシーンの映像を記念に投稿したんだ。それを見た時、私はすぐに消して携帯電話を投げ捨てたよ。『もういいよ』ってね」
 

 だが、現在ウクライナ代表を率いる指揮官は、「人生で真の落胆に直面しなかったカンピオーネを知っているかい?」と続けた。

「そんな人は存在しない。それこそがスポーツ、そして人生の素晴らしさだ。我々は強い。再び立ち上がり、前進する。だから生きているんだ」

 イスタンブールの失意から2年後、ミランはアテネの地で同じリバプールを相手にリベンジを果たした。チェルシーに移籍したシェフチェンコがいなかったミランで優勝に大きく貢献したのが、元ブラジル代表のカカだ。

 シェフチェンコは、「ミランで感銘を受けたのはカカだ。とても若かったが、ピッチでやることすべてが完璧だった」と賛辞を寄せている。

「最初の練習で見た時に、こんな強いなんてあり得ないと思ったよ。イタリア・サッカーに馴染む必要すらなかった。すぐに溶け込んだ。リッキー(カカの愛称)は素晴らしい」

 また、シェフチェンコは「幸いにも、自分はオリバー・ビアホフやレオナルド、フィリッポ・インザーギ、ヴィエリ、エルナン・クレスポとプレーできた」とも述べ、ミラン時代をこう振り返った。

「これだけの人たちがいれば、すべてがより簡単さ」

 近年の低迷から、シェフチェンコらを擁した当時の黄金期を恋しく思う人も少なくないだろう。だが、かつてのエースは、「落胆を乗り越えるからこそ、人生は素晴らしい」とも話した。サポーターは、ミランが今を乗り越えることを望んでいるはずだ。

構成●ワールドサッカーダイジェスト編集部
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