「ホマレ・サワは、希望そのものだった」英紙記者が、2011年W杯決勝のなでしこジャパンを回顧!

2020年04月28日 サッカーダイジェストWeb編集部

澤穂希さんの姿を「今でも忘れられない」

優勝を決めた澤穂希さんはMVPに選出され、この年のFIFA最優秀選手賞も受賞した。 (C) Getty Images

 新型コロナウイルスの影響でヨーロッパをはじめとした各国リーグは中断している。そんななか、英紙『The Guardian』は記者が選出する過去の名勝負を紹介しており、フットボールファンを楽しませている。

 様々な歴史的試合が改めて脚光を浴びるなか、女子サッカーを担当しているサマンサ・ルイス記者は、2011年6月に行なわれた女子ワールドカップ決勝、日本対アメリカを選出している。

 ルイス記者は「つい数か月前に壊滅的な地震が発生した後の、フランクフルトのあの夜、日本には"運命の力"のような、大きなものを感じた」と振り返り、絶対に忘れられない試合だと語っている。

 2011年3月、日本は東日本大震災に見舞われた。筆者は「津波が街を侵食していく光景は、映像だけだとしても、とても忘れられるものではない」と綴っている。

「そんな国の状況を背負ってワールドカップに挑む彼女たちの姿に、私は『崇高さ』を感じていた。かつて哲学者イマヌエル・カントがそう呼んだ、自然界の出来事の大きさやパワーに圧倒されて、畏怖の念を抱く感覚のこと。それを、肌で感じたのだ。

 大会前は誰も彼女たちにそれができるとは予想していなかった。決勝トーナメント進出まではラッキーの積み重なりで、開催国である準々決勝のドイツ戦で90分間を引き分けた時、彼女たちの運は尽きたと、そう見えた」
 
 しかし、延長戦の末に丸山桂里奈のゴールで、これまで勝利したことのなかった開催国を下した際、「何か大きなものが彼女たちに味方しているように思えた」と綴っている。

「準決勝では優勝候補の一角であるスウェーデンを、相手のミスを逃さずに3-1で鮮やかに下した。何かが、彼女たちの味方をしていると感じた人は、ほかにもいたはずだ。そして私にとっては、日本が躍進する姿、崇高さを感じさせる象徴とは、ホマレ・サワそのものだった」

 澤穂希さんは当時32歳。なでしこジャパン不動の主将として日本チームを率いていた。どんな試合でも最後までチームメイトたちを鼓舞し、ルイス記者は「底なしの体力を誇るかのように、チームを引っ張り続けた」と絶賛している。

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