【アジアカップ】“新境地”を切り開けなかった香川真司

2015年01月24日 サッカーダイジェスト編集部

ヨルダン戦で手応えを掴んだはずだったが…。

ヨルダン戦で今大会初ゴールを奪った香川の活躍も期待されたが、再三のチャンスを決められず……。結局、最後まで目映い輝きを放ち切れなかった。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 香川真司の頭のなかを、いくつもの場面が駆け巡っていた。
「得点が取れなかったので責任は感じています。申し訳ないですね……。PKもそうですし、ホントに自分が決めていればというシーンもあったし、もうすべてが……」
 
 0-1で迎えた59分、武藤から本田への縦パスに香川が反応する。本田がさばいたボールを、ペナルティエリア正面で受ける。密集の隙間を衝いて右足を振り抜くが、相手GKの正面をついてしまった。
 
 76分にも好機を迎えた。右CKを豊田が相手GKと競り、セカンドボールが香川のもとへこぼれる。右足で狙ったが、至近距離からのシュートは枠を大きく逸れてしまった。
 
 後半終了間際にもチャンスが巡ってきた。右サイドからのクロスをきっかけに、ペナルティエリア内の香川へボールが渡る。今度もゴールへの距離は近い。確実に枠を捉えるはずだったが、右足から放たれたシュートはゴール左へ逸れてしまい歓喜に覆われなかった。
 
 極めつけはPK戦である。
 
 6人目で登場した香川のシュートは、ポスト左に嫌われてしまう。2015年1月23日は彼の日ではなく、もっと言えば、今大会は「背番号10」にどこまでも厳しかった。
「先制されましたけどチャンスもあったので、しっかり決めていれば逆転できる自信はありました。やっぱり1点だけでは足りない。決めなきゃいけないところでチャンスを逃し続けたというか……」
 
 ヨルダン戦で手応えは掴んだはずだった。ゴール前へ入っていくタイミングは、試合ごとに磨かれていた。しかし――。決定機には絡んだだけに、香川もすぐには言葉を見つけられない。
「そうですね……。決められる自信はあったんですが決められなかったので、それは自分の実力として、決められなかった事実を受け止めてやるしかない」
 
 ブラジル・ワールドカップの悔しさを連覇につなげるのが今大会の位置づけだったが、準々決勝で敗れた事実については、どのように感じているのか。
「ここで終わるつもりはなかったですし、新しく代表に選ばれた選手が得点を取ったり活躍したり、すごく良い雰囲気だった。このサッカーにすごく可能性を感じ楽しかったので、だからこそもっと勝ち進みたかった。だからこそ、自分が(PKを)外して負けたのはすごく悔しいですし、申し訳ない。ただやっぱり、取り返す時間は帰ってこないので、切り替えてやるしかないと思います」
 
 インサイドハーフとしての自分を、4試合では開拓し切れなかった。手応えを問われると、「負けたので、申し訳ないです」と、香川は視線を落とした。
 6月にはロシア・ワールドカップのアジア予選がスタートする。それ以前に、ブンデスリーガが来週末から再開される。立ち止まっている時間はない。
「今はまず、自分が外して負けた意味をしっかり整理してやっていきたい。この結果を自分なりにしっかり突き詰めていきたいです」
 
 オーストラリアでのアジアカップという「点」を、2018年のロシア・ワールドカップへの「線」の上でどのように活かしていくのか。答は香川自身で見つけるしかない。

【マッチレポート|日本 1-1(PK4-5) UAE】

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