「1億ユーロ超の移籍金は消える」バイエルン前会長が明かした“新型コロナ後”の不安と期待

2020年03月27日 サッカーダイジェストWeb編集部

「現在の水準に戻るまでに2~3年はかかる」

欧州サッカーシーンをも揺るがす新型コロナウイルスの脅威。ドイツの“超優等生”バイエルンとて例外ではない。(C)Getty Images

 新型コロナウイルスの感染拡大が深刻な欧州にあって、サッカーの各国リーグも待ったなしの難局を迎えている。

 ドイツ・ブンデスリーガは当初、1部と2部の中断期間を3月13日から4月3日までと定めていたが、国内の混乱状態はさらに悪化しており、期間を4月30日までに大幅延長。3月30日に1部と2部の全36クラブ代表者が集い、その場で正式承認される見込みだ。

 そんななか、昨年11月にバイエルン・ミュンヘンの会長職を勇退したウリ・ヘーネス氏が専門誌『Kicker』のインタビューに応じ、クラブマネジメントの危機的状況について私見を述べた。同誌はクラブ収入の3本柱はチケット収入、テレビ放映権料、スポンサー料であるとしたうえで、収入全体の約60%にあたるテレビ放映権料とスポンサー料の今シーズン分だけでも確保しなければ立ち行かない、と論じている。

 これを受けてヘーネス前会長は「まずは今シーズン中に再開できるかどうかが重要な分かれ道だ。無観客による開催でも実施してテレビ放映権料を得られれば、それだけでもずいぶん助けられる」とコメント。一方で「もし最悪の場合として、今年のクリスマスまで再開ができないとしたら、ブンデスリーガの存続自体が危ぶまれる」と話し、「伝染病とも言えるものだけに、いまは待つしかない」と慎重に言葉を続けた。

 だが、元名物会長は「ピンチはチャンスである」とも言う。

「現在の状況は恐怖でしかないが、(サッカー界の)根本を見つめ直す良い機会ともなるだろう。今回の事態が終息しても、すぐに元のような経営状態には立ち返れない。それは欧州のあらゆるクラブに共通する。そのなかで、1億ユーロ(約125億円)を超えるような移籍金が生じるケースは消えてなくなるはずだ。移籍金の相場が下落し、現在のような水準に戻るまでには、おそらく2~3年はかかるだろう。そう、新しい価値、新しいフットボールの世界を形作るチャンスと考えることもできる」

 
 もし無観客試合さえ開催されずに今シーズンが終了となれば、複数のブンデスリーガ・クラブが経営破綻すると目される。ボルシアMG、ボルシア・ドルトムント、ウニオン・ベルリンといったクラブでは、存続を憂う選手たちがサラリーカットに応じたという。バイエルンとシャルケ04も追随する予定で、こうした動きは欧州各地で広がりを見せはじめている。

 先行きが不透明ないま、求められるのは世界規模での"団結"だ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部
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