新潟、初のスペイン人指揮官のもとで構築するスタイルとは?開幕戦3-0勝利も「リアリスト」を自認する監督の見解は…

2020年03月03日 大中祐二

1か月の高知キャンプではパススピード、守から攻への切り替えに重点が置かれた

今季から新潟を率いるアルベルト監督。過去にバルサ下部組織の要職に就いた経験もある。写真:大中祐二

 新潟県内で初めての新型コロナウイルス感染者が確認されたのは、2月29日のことだ。この日、アルビレックス新潟はオフ。本来ならば、2節の松本山雅FC戦前日で、開幕のザスパクサツ群馬戦に勝利した勢いに乗ってアウェーに乗り込むため、最終調整をしているはずだった。

 4日前にJリーグの延期が決まったことを受け、チームのスケジュールも変更されていた。29日、そして3月1日と2日間、オフを取ってトレーニングは再開。練習後、アルベルト監督は選手たちの取り組む姿勢を称えた。
「公式戦がないのに集中を維持するのは難しい。しかし、選手たちはしっかりプレーしてくれたし、彼らの人間性は本当にすばらしい」

 現時点で延期が決まっているのは、15日までのすべての公式戦。アルベルト監督は、18日、ホームの5節・ファジアーノ岡山戦に照準を合わせて、準備を開始した。水曜日の再開を前提に、1週間に1試合のペースでトレーニングゲーム(非公開)を組み、併せてトレーニングの負荷を上げることで、公式戦が行なわれている状態にできるだけ近い強度と緊張を保てるように、調整が図られた。

 J2降格から3シーズン目。新潟はクラブ初のスペイン人指揮官として、バルセロナの下部組織で要職を務めたキャリアを持つアルベルト監督を招へいした。コーチングスタッフも一新され、新たなチームづくりが始まった。1か月の高知キャンプで重点が置かれたのは、パススピードを速くすることでプレーのテンポを上げることと、攻撃から守備へ素早く切り替えることの2点だった。

 それらを包み込むように、ラインを高く保ち、コンパクトな陣形で戦うスタイルが築かれつつある。アルベルト監督が、ことさらコンパクトさにこだわるのは、積極的に前からプレスをはめてボールを奪うためであり、失った瞬間、ボールを奪い返しにいくためである。攻めるにはボールが必要で、ボールを自分たちのものにするため守備をする。チームの方向性が、徐々に明確になってきた。
 

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