【長崎】もう失敗は許されない。「不退転の決意」で臨む手倉森監督が”2年目”に落とし込むもの

2020年02月25日 サッカーダイジェストWeb編集部

「その流れは白星発進。絶対に勝ち取らないといけない」

栃木との開幕戦に勝利。手倉森監督はチームを悲願のJ1昇格に導けるか。(C)J.LEAGUE PHOTOS

 栃木との開幕戦を1-0で制し、ロッカールームへと戻る際、手倉森誠監督は苦しんだ末の勝利に「これぞ開幕戦という試合だったな」と苦笑いを浮かべた。

「開幕戦というのは、今年こそという想いで取り組んできているものが、まずは最初の試合で報われるかどうかというところになる。勝点3を取れれば大きな自信になってJ1への航海で旗を大きく広げることができる」

 指揮官は開幕戦の勝利を重要視していた。そこには今季の始動からチームに植え付けてきた競争が背景にあった。昨年は「自分のサッカーは4バック」と話したこともあるようにシーズンを通して4バックをベースに戦った。カップ戦で2度だけ3バックを用いたこともあったが、一度はルヴァンカップによる連戦でのターンオーバー、もう一度は天皇杯・準決勝での鹿島対策だった。しかし今季は始動以来、本格的に4バックと3バックを併用してチームに落とし込んできた。

「『この監督なら何かやってくれるんじゃないか』と常に思われるような監督でありたい。そのためには2年続けて情けない成績となれば誰より自分が自分自身を許せなくなる。まさに不退転の決意」

 J2で優勝しての一年でのJ1復帰を目標に掲げ、自信を見せていた昨季の開幕前。しかしカップ戦の躍進はあったが、肝心のリーグ戦は昇格レースに絡めず12位に終わった。「勝負師」と自称する指揮官にとってはまさに失意のシーズンとなった。もう失敗は許されない。だからこそ、自身の信念を押し曲げても結果にこだわる。そのために3バックの導入も推し進めてきた。

「メンバーを固定して戦ったことがこれまでひとつもないというのがある。だから、このチームには競争があるという中でのシーズンインになっている」
 
 始動から沖縄、宮崎のキャンプをこなし、開幕までに10試合のテストマッチを重ねてきたが敗れたのは一度だけ。J1クラブを相手にも白星を奪ってきた。メンバー、システムを固定せずに選手たちに安堵感を生ませなかった。ポジションを奪うという競争意識が練習試合の結果にもつながった。

「間違いなく開幕戦のメンバーというのは、これから先のリーグ戦の流れを作る重要な役割を担っている。その流れは白星発進。絶対に勝ち取らないといけない」

 指揮官はそんな競争を勝ち抜いた開幕戦のメンバーに大きな期待を寄せていた。だからこそ、開幕戦での勝利が是が非でも欲しかったのだ。

「何がなんでも自動昇格」と目標に掲げる手倉森監督。その一歩目は今季のチームビルディングのテーマが結実したものになった。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部
 

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