【横浜|担当コラム】王者としての真価が問われるシーズン。黒星発進で明確になったこと

2020年02月24日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「自分たちのサッカーに、可能性しか感じない」(喜田)

G大阪との開幕戦は1-2の敗戦。相手のハイプレスに苦しみ、扇原は「ミスもいつもより多かった」と悔しさを滲ませる。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[J1第1節]横浜1-2G大阪/2月23日/日産ス

 扇原貴宏の懸念は、残念ながら現実のものとなってしまった。ACLのグループステージ第2節、シドニーFCに4-0で完勝した後、この技巧派レフティは連覇がかかるリーグ戦を見据え、一抹の不安を抱えていたようだ。

「リーグ戦はまた違った雰囲気になると思う。すごく分析されるだろうし、去年みたいにうまくいかないと思う」

 G大阪をホームに迎えたリーグ開幕戦、横浜は前半だけで2点のビハインドを背負う。相手のアグレッシブかつ連動性の高いフォアチェックの前に思うようにボールを前に運べず、劣勢を強いられた。最初の失点は、GK朴一圭が持ち出したところを狙われ、そこで奪われたボールを流し込まれた。2失点目はハイラインの裏を突かれ、クロスから決められた。

 いずれの失点も、自分たちのスタイルを逆手に取られた格好だ。後半は猛攻を仕掛け、マルコス・ジュニオールが技巧的な一発を沈めて1点差に詰め寄るも、反撃もそこまで。無念の黒星スタートとなった。

 分析され、研究されるのは、チャンピオンチームの宿命でもある。おそらく今後もこうしたゲームは増えてくるだろう。もっとも、"対横浜仕様"で挑んでくる相手との戦いで、自分たちのやるべきことは、これまでとなにも変わらないはずだ。

 自陣からのビルドアップに対し、敵がハイプレスでハメにきたら、セーフティに長いボールを飛ばすのか。違う。G大阪戦後に扇原は言った。
「(プレスを)抜けた時は落ち着いてボールを回せていたけど、その回数が少なかった。でも、その回数を増やせれば、相手もプレスに来られなくなる」

 ビルドアップを狙われても、むしろそれをやり通す。逃げない。相手のプレスを回避するのではなく、真正面から受け止めて、いかにそれが無意味な行為であるかを分からせるために、頑なにつないで、強気にボールを前に運ぶ。

 その試みが失敗し、失点につながり、勝点を失うこともあるかもしれない。そうならないためには、これまで積み上げきたスタイルをさらに磨くしかない。相手が準備してきた戦い方を上回るように、練度を高めるしかないのだ。

 扇原が「自分たちのことを信じているし、自分たちのやりたいサッカーを信じている」と口にすれば、ボランチでコンビを組む喜田拓也も同調する。

「負けていながらあれですけど、自分たちのサッカーに、可能性しか感じないので」

 王者としての真価が問われるシーズン。対策を講じてきた相手を"自分たちのサッカー"でねじ伏せた時、またひとつ強くなるはずだ。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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