キ・ソンヨン問題でFCソウルに批判殺到! なぜ“英雄たち”は韓国Kリーグに復帰できないのか

2020年02月14日 サッカーダイジェストWeb編集部

「青いドラゴン」も夏の帰還を目ざしているが…

同い年のキ・ソンヨン(右)とイ・チョンヨン(左)。韓国代表を長くリードしてきた重鎮コンビの動静に注目が集まっている。(C)Getty Images

 母国のスーパースターが"帰還"を果たせない? 韓国サッカー界で批判が渦巻いている。

 この冬でニューカッスル・ユナイテッド(イングランド)との契約を解除し、現在フリーの身となっているのが元韓国代表MFキ・ソンヨンだ。1月24日で31歳となった重鎮は、韓国Kリーグへの復帰を模索していたが、ひとつの違約金条項がネックとなり、すべての交渉はお流れとなった。

 2009年にキ・ソンヨンはFCソウルからセルティック(スコットランド)に移籍。その際、FCソウルはセルティック移籍の過程で発生した移籍金の一部を、キ・ソンヨン側に支給したという。そのため、将来的にFCソウル以外のKリーグ・クラブに移籍する場合は、200万ユーロ(約2億5000万円)とも言われる違約金を支払わなければならない。今回はその条項が大きな足かせとなって、キ・ソンヨンの本国復帰を阻んだと目されている。

 当然、英雄の帰還を待望する国内ファンは一斉にFCソウルを糾弾。キ・ソンヨン本人もSNS上で、「嘘で僕を傷つけるのならば、僕も真実で傷つけられる。僕をもてあそばないで。僕がやり返したら、あなたも良い気分にならないはず」と、FCソウルへの非難とも取れるメッセージを掲載した。現在はオーストラリアのブリスベン・ロアーや日本のJリーグ・クラブへの加入などが取り沙汰されている。

 一方、全国スポーツ紙『スポーツソウル』紙はもうひとりのスター選手が本国復帰を目ざしていると報じた。ドイツ2部のボーフムでプレーする韓国代表MFイ・チョンヨンで、今シーズンいっぱいでクラブとの契約が満了となる。

 
 ところが、イ・チョンヨンもまた、キ・ソンヨンの場合と同じ問題が起こりうるとされている。「青いドラゴン」の異名を持つアタッカーもFCソウルの出身で、2009年にボルトン(イングランド)へ入団する際、同様の違約金条項が盛り込まれた可能性が高いというのだ。

『スポーツソウル紙』は「FCソウルはイ・チョンヨンとの優先交渉権を持っている。すでに何度か交渉の場を設けているが隔たりが生じており、FCソウルが実務的に契約書上の原理原則を貫くのであれば、相互理解を深めることは難しい」と伝え、「FCソウルはより積極的で誠実な姿勢を通じて、背を向けてしまった一部のファンからの信頼回復に努めるべきだろう」と記した。

 欧州の檜舞台を戦い抜いてきた英雄たちに、望む花道が用意されないとは──。Jリーグではまずお目にかかれない特殊な条項だ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部
参照元●スポーツソウル日本語版
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