初陣は柏に完敗…ユン・ジョンファン監督招聘の新生ジェフに見えた攻守の課題とは

2020年02月09日 本田健介(サッカーダイジェスト)

多くの反省材料は残るも…

今季から千葉の指揮官に就任したユン・ジョンファン監督。その手腕には期待が集まる。写真:徳原隆元

 ユン・ジョンファン新監督の下で、悲願のJ1復帰を目指す千葉は、2月9日、今季初の公式戦として、柏との「ちばぎんカップ」に臨み、0-2で敗れた。

 2011年に鳥栖をJ1昇格、17年にはC大阪をルヴァンカップと天皇杯の2冠に導くなど、実績十分の指揮官を招聘しての再出発。昨季はJ2で17に終わりながら、生まれ変わろうとする千葉には、多くの期待が寄せられているが、リーグ開幕直前の一戦では、チーム作りは時間がかかりそうな印象を抱かせた。

 柏との一戦は立ち上がりこそ、自陣にしっかりブロックを作り、相手の隙を窺いながら攻撃の機会を見い出そうとする意識は感じられた。しかし7分に一本のパスで柏のエースFWオルンガに抜け出されて決められると、4分後には数的有利な場面で柏のクリスティアーノに左サイドを突破され、カットインから失点。出鼻を挫かれたチームは、なかなかチャンスを作り出せずに完敗を喫したのだ。

「守備面も攻撃面もしっかり見せることができなかった。多くの方が訪れてくれて期待されたと思いますが、失望させてしまったのは申し訳ない」と指揮官も敗戦を受け止める。

 守備組織の構築に定評のある指揮官は、昨季、強力な攻撃陣を擁してJ2を制した柏を相手にも、手堅く戦うゲームプランを用意していたはずだ。それだけに2失点した守備面に関しては「ゾーンで守っているのでスペースをお互いがカバーしようと考えなくてはいけない」と語り、今後のチーム作り、現在のチームの状態について訊くと、次のように答えてくれた。

「(チームの完成度としてどんな状況でも)100%というのはありません。そこに近づくのが大切。ただなにを優先させるか、そこが大事。失点については不甲斐ない形で、もったいなかった。まずは守備面を安定させなくてはいけない」
 一方で指揮官は攻撃面に関しても「攻撃は奪ったボールを奪い返される場面が多すぎた。相手の守備というより、自分たちのミスだった。そこは修正をしなくてはいけない」と課題を挙げる。

 多くの反省材料を残すゲーム。もっとも「開幕までには必ず修正できる」と百戦錬磨のユン・ジョンファン監督が自信を覗かせる点はポジティブに捉えたい。

 川崎で3度の優勝経験を持つ新戦力のGK新井章太も「球際の部分、個人の部分、サッカーとして当たり前のところをもっと意識していかないと、強いチームにはなれない」と反省しながら、「これがリーグ開幕戦でなくて良かった。まだきでることはたくさんある」と前を向いた。

 チーム作りはまだ始まったばかり。攻守でブラッシュアップしなくてはいけない点は多々あるが、同時に大きな伸びシロもあると言えるだろう。今後、J2という長丁場のリーグを戦うなかで、チームがどんな進化を見せるのか。今はユン・ジョンファン監督の手腕と選手たちの奮闘に期待するべきだろう。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

【ちばぎんカップPHOTO】千葉 0-2 柏|助っ人が健在の柏が勝利
 
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