「エレベーターで唾を吐くと聞いていたが…」名将リッピが中国を語る。新型ウイルスの影響に何を想う?

2020年02月06日 サッカーダイジェストWeb編集部

「彼らは西洋化したんだ」

広州恒大とA代表を率いて、中国サッカーの繁栄に尽力したリッピは、同国の現状に対する胸中を明かした。 (C) Getty Images

 新型コロナウイルスの脅威は世界的に広がっている。

 その現状に、広州恒大や中国代表を率いたマルチェッロ・リッピは、かつて過ごした地の現状に驚きを禁じ得ないようだ。

 イタリア・メディア『golssip』によると、リッピは母国のテレビ番組で、「私にとって中国は素晴らしい国だ。世界的な力があり、大好きになった国だよ」と話している。

「イタリアは彼らのそばにいると知っていてほしい。そして、イタリアの科学者グループがウイルスを分離したのはとても素晴らしい知らせだ」

 中国に想いを馳せたリッピは、「知り合った多くの人たちや指導したチームとは日々電話でコンタクトを取っている。彼らは練習を続けているが、とても残念がっているよ」と続けた。

「中国で暮らしていた頃は、外出するとサインを求められてね。それが30秒で300人にもなって、写真を求められたりしたんだ。『行かなきゃいけないんだ』と言いながら逃げていたものだよ。だが今、そんな街が完全に空虚になっている。本当にショックなことだ」

 昨年11月に中国代表監督を辞任するまで、約7年間に渡って中国で活動していたリッピは、「8年前はエレベーターで唾を吐くなんて聞いていたが、今ではそんなこともない。とても変わったんだ。彼らは西洋化したんだよ」とつけ加えている。

 習近平国家主席がイタリアを訪れた時は、手を差し伸べられてもいたリッピは、「あれは、みんな驚いていたよ。国家のトップがひとりの人にあいさつするために立ち止まるのは儀礼にないからだ。みんながあいさつしたがるようになるからね」と振り返った。

「彼が来て、私の仕事を褒めてくれたんだ。そして、『中国に戻らないのか?』と聞かれた。彼にノーとは言えなかったね。肩を叩いて、『イエス、イエス。様子を見よう』と答えたよ。そういうのが中国で出回って、みんな喜んでくれた。中国では非常によく扱ってもらった。自分が重要だと感じさせてくれたよ。それは、私が彼らを重要と考えていたことを分かってくれたからだ」

 ユベントスで欧州制覇を含めた数々のタイトルを獲得し、2006年のワールドカップでイタリアを24年ぶりの優勝に導いた名将は、いまも、中国に魅了されているようだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部
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